日本相撲協会は名古屋場所11日目の20日、佐渡ケ嶽、玉ノ井部屋で新型コロナウイルス感染者が判明し、この日から両部屋の全力士らが休場することを発表した。今場所中の感染による休場は5日連続で6部屋目。場所前に感染が判明した田子ノ浦部屋を含めると、全力士休場は計7部屋となった。力士は全体の約2割に当たる計125人に上り、関取は10人。優勝争いにも影響が及ぶ感染拡大となっている。

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名古屋場所もいよいよ終盤戦-。優勝争いに向けてより一層、盛り上がりを見せるはずだったが、一気の新型コロナ感染拡大に見舞われた。7日目に出羽海部屋の大関御嶽海らの感染が判明したのを皮切りに、5日連続で新たな部屋から感染者が判明。この日から休場となった琴ノ若は、10日目終了時点で3敗、1差で優勝争いに絡んでいた。また、9日目に休場した平幕の一山本は8日目終了時点でトップタイに並んでいた。優勝争いにも、大きく影響が出ている。

新型コロナ関連で全力士が休場となった部屋は、全43部屋中7部屋目。場所前に引退した放駒部屋の元小結松鳳山を除き、名古屋場所の番付表に掲載された力士全627人中、約2割の125人が休場となった。今場所は観客数に制限を設けない通常開催。連日、多くの相撲ファンが会場に集まっている。しかし、日に日に土俵上が寂しくなり、物足りなさが出てきたのは否めない。そんな緊急事態となった。

感染対策は各部屋で抜かりなく行っている。それでも起こった感染拡大。新型コロナの専門家から指摘を受けた協会は「今回のウイルスは、マスクを着用していても1メートル以内の距離での会話で感染は防げません」「マスクを外す場合と、飲食する場合は絶対にしゃべらないこと」「自分以外の人は感染していると思って注意、行動するよう徹底すること」などの内容を各部屋に通達したが、想像を上回るスピードで感染が広がっている。

初日から三役以上に黒星が目立った荒れる名古屋場所も、あと4日。1差に6人がひしめく激しい混戦模様。優勝を狙う力士はもちろん、勝ち越しを目指して力を入れる力士も多くいる。目の前の一番だけではなく、見えない敵との闘いにも気を引き締めなければならない。

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