節目の日にも、地元山口へのPRを惜しまなかった。元前頭豊響の山科親方(38)が29日、東京・両国国技館で引退相撲を行った。

会場内では故郷山口県と下関市の物産展が並び、地酒や名産のお菓子などを買う人の姿が目立った。同親方は「断髪式で地元を発信できたら、恩返しになると思って」と経緯を明かし、「いろんな人に応援されてきた。本当に感謝の気持ちしかないですね」としみじみと述べた。

会場内には他に、韓国の男性ヒップホップグループ、BTS(防弾少年団)の関連グッズを扱うコーナーも置かれた。引退相撲×BTSとの異色のコラボにも見えることについて尋ねられると、同親方は「BTSのファンの人からも相撲に興味を持ってもらえれば、相撲のファン層も広がると思って」と相撲界の発展に向けた思いの丈を述べた。

 

◆山科隆太(やましな・りゅうた) 本名は門元隆太。1984年(昭59)11月16日、山口・下関出身。小3で相撲を始め、豊浦中を経て03年に響高を卒業。05年初場所で初土俵、07年初場所で新十両に昇進。同年名古屋場所で新入幕。最高位は08年九州場所での東前頭2枚目。十両だった18年1月に不整脈を発症して初場所を全休し、翌春場所で幕下に陥落。以降、関取復帰はかなわず21年6月に引退した。三賞は敢闘賞3個、金星1個(12年夏場所7日目、白鵬から小手投げで奪う)を獲得した。