幕内最軽量117キロ、西前頭5枚目の翠富士(26=伊勢ケ浜)が「ポケモンパワー」で主役候補に浮上してきた。

遠藤を得意の肩透かしで6連勝。初日からの自己最多連勝をさらに更新した。取組後は外出を自粛し、ゲームで気分転換しているという伏兵は、7日目に高安との「全勝対決」が組まれた。

   ◇   ◇   ◇

今場所初披露の得意技で相撲巧者を沈めた。遠藤と対戦した翠富士は「立ち合い差し勝ったんで圧力をかけていけた」。右差し左ハズで押し込み、最後の仕上げが肩すかしだった。「(肩透かしが)決まると『あっ出たっ』って自分でも思いますね」。思わず表情も緩む快勝で6連勝とした。

幕内では新入幕で9勝6敗、技能賞を獲得した21年初場所の3連勝、十両でも12勝を挙げた昨年春場所の5連勝が自己記録だった。好調の原因を「何でですかね。特に意識していないけど、前に出られているところかな」と言った。幕内最軽量の小兵だけに、押されて逆転を肩すかしが象徴していた。だが、今場所は立ち合いの力が進化した。

同部屋で同い年の錦富士と競い合う。今場所もともに白星を並べてきたが、先に錦富士に土がついた。翠富士に「負けるかな」といやな予感もよぎったが、そんな空気も吹き飛ばした。

大阪は中退するまでの近大在学中に約1年過ごした。なじみの地だが「外出はできない」と自粛。代わりにやすらぎを与えるのが「ポケモン」だという。「ずっとポケモンしてますね。(付け人に)『進化の方法教えて』とかしょうもない会話してますね」。子どものようにゲームではしゃぎ、土俵に集中する。

7日目は同じ全勝の高安との対戦が組まれた。前半戦のヤマ場だが、翠富士に気負いはない。「負けられないプレッシャーはあるけど、このまま連勝したいッスね。明日、頑張りたいです」。進化する翠富士が春の主役を狙う。【実藤健一】