大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で、大関昇進に挑む関脇霧馬山(27)が、所属する陸奥部屋の騒動にも動じず、順調な仕上がりを披露した。10日、都内の時津風部屋に出稽古。自身の他に豊昇龍、大栄翔、若元春と全4人の関脇が集結したほか、時津風部屋の小結正代と、三役が5人が一堂に会する豪華な稽古となった。さらに前頭錦木、大翔鵬、十両豪ノ山、時疾風と関取衆が9人で行われた申し合いでは、途中9連勝するなど最多の20番取って15勝5敗。「いい稽古をすると気持ちが上がってくる」と、笑顔で汗をぬぐいながら、陸奥部屋まで約10分、歩いて帰った。

前日9日に、自身の付け人も務めている部屋の三段目安西(やすにし、21)が、兄弟子の元幕下力士から暴力を受けていたことが判明した。師匠の陸奥親方(元大関霧島)は、事業部長としての職務を終えた午後5時ごろ、両国国技館から歩いて帰ってきた。ただ、その道中、報道陣の質問に険しい表情を見せるなど、緊張感を漂わせた。部屋として、いつもとは異なる雰囲気を敏感に察し、霧馬山も調子を狂わせても不思議はない。それでも、暴力問題について、この日「自分が言うことではないので」と話すにとどめ、稽古の充実ぶりから明るい表情を絶やさなかった。

1月の初場所は小結で11勝、3月の春場所は関脇で12勝して初優勝を飾った。大関昇進の目安とされる「三役で3場所33勝」には、夏場所で10勝が求められる状況だ。ここまで精力的に出稽古を行い、4月の巡業中も積極的に申し合いを重ねた。「明日(11日)も、あさって(12日)も出稽古の予定」と、さらに相撲勘に磨きをかけていく。

もちろん「自分の体は自分しか分からない」と、初日に向けて疲労を残さないことも大事と理解している。「あと1日、2日、いい稽古をして、あとは部屋で調整ですね」。最近2場所の実績に加え、4月以降も巡業や出稽古で元気いっぱい。大関昇進は現実味を増している。重苦しくなりそうな部屋の雰囲気を、部屋頭の霧馬山は夏場所後の大関昇進で、一気に好転させるつもりだ。