大相撲名古屋場所(9日初日、ドルフィンズアリーナ)を控えた大関貴景勝(26=常盤山)が6日、名古屋市の部屋で四股、すり足などの基礎運動を中心に稽古した。

1月の初場所で優勝したが、綱とりだった3月の春場所は左膝を痛めて途中休場。5月の夏場所は、両膝に痛みを抱えている様子ながら、皆勤して勝ち越し、かど番を脱出した。今場所は勝ち越せなくても大関から陥落することはないが、この日は、全体の稽古終了後も土俵に残って立ち合いの確認などを繰り返すなど、出場の意欲をうかがわせる調整を行った。

稽古後、師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)は「相撲は取っていません」と明かした。連日、稽古場に降りてはいるが、この日、居残りで行った立ち合い確認の一丁押しを、時折、行うにとどまっているという。それでも同親方は「出る方向ではいる」と話し、出場可否の当面の期限となる、取組編成会議が行われる7日朝に判断する見込みだ。

同親方は「両膝ですね。膝の状態は本人しか分からない。相撲を取っていないからね。どういう相撲を取れるか、心配なところはあります」と、率直に話した。場所前に相撲を1番も取らずに出場するとなれば「初めてです」(同親方)と、出場すれば、自身初のぶっつけ本番で臨む本場所となる。

稽古後は報道陣の取材に応じなかったが、サインや赤ちゃん抱っこの求めに笑顔で応じる場面も。ケガを抱えながら、かど番で臨んだ先場所のような、張り詰めたような空気感は漂わせていなかった。