昭和以降最速タイの所要3場所で新入幕の西前頭17枚目・伯桜鵬(19=宮城野)が優勝に王手をかけた。優勝争いで単独トップだった北勝富士と対戦。土俵際の突き落としで勝ち、自力で引きずり下ろした。

千秋楽は同じ3敗で並ぶ関脇豊昇龍との対戦が組まれた。優勝すれば19歳11カ月で92年初場所を19歳5カ月で制した貴花田(のちの横綱貴乃花)以来となる10代での快挙。新入幕の優勝は1914年(大3)5月場所の両国以来109年ぶり。所要4場所は幕下付け出しでは、元横綱輪島が72年夏場所で記録した15場所を大幅に更新する。まさに記録ずくめの優勝となる。

朝の稽古場で師匠の宮城野親方(元横綱白鵬)から「(北勝富士は)左おっつけが強い。そこにはまるな」とアドバイスされた。しかし、思った立ち合いができず、左四つで胸を合わせる形となった。最後も攻め込まれたが「土俵際は残せると思ったので、あせりはなかった」。物言いはついたが、右足のかかとはしっかり浮かして残していた。

幕内前半戦で異様ともいえる雰囲気だった。「歓声が大きい中で、しっかりそれを力にして集中できたのがよかった」という大物ぶり。「(優勝争いを)意識するというか注目されている。自分は今日の相手に準備して結果的に勝った。そういう(優勝を争う)思いはないです」。

「幕内は全員が化け物というか怪物」と表現していた。その怪物たちと渡り合い、トップで千秋楽を迎える。「自分は優勝できるレベルじゃない。明日の相手に勝つ準備をしていくだけです」。恐るべし19歳は表情ひとつ変えずに言った。

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