大相撲名古屋場所で初優勝を果たし、大関昇進を確実にした関脇豊昇龍(24=立浪)が、千秋楽から一夜明けた24日、名古屋市の部屋で会見した。前夜、叔父で元横綱朝青龍のドルゴルスレン・ダグワドルジ氏とテレビ電話した際の話として「よくやった」と、褒められたと明かした。さらに「初めて叔父さんが泣いているところを見ました」と、元横綱が泣いて喜んでいたことも告白。その姿に「うれしかった」と、さらに初優勝の喜びがこみ上げたという。

憧れのダグワドルジ氏には「少しは近づいたかなと思うけど、まだまだ比べられるものじゃない」と、優勝25回の大横綱の偉大さをあらためて感じた様子だ。ただ「優勝して終わりじゃない。この先、まだ番付がある。そこに向けて、一生懸命稽古して、上に行きたい。応援してくれる人に恩返ししたい」と、初優勝し、大関を確実としたことで横綱まで上り詰めたいという思いものぞかせた。

今場所は、千秋楽まで3人に優勝の可能性があった。その千秋楽では、本割で同じ3敗の19歳の伯桜鵬、優勝決定戦で31歳の北勝富士を連破。伯桜鵬については「そのうち幕内上位に来るんじゃないですか」と、将来のライバルになることを予感していた。

また、場所中は「正直、夜は眠れなかった。中日(8日目)を過ぎてからは、1日1、2時間とか」と、重圧を感じていたことも明かした。それだけに、優勝決定戦を取り終えた直後に流した涙については「我慢していたけど出ちゃいました。それぐらい、うれしかった」と、笑って振り返った。これまで、人前では泣いたことは「特にない」というほど、涙もろさとは無縁だっただけに、豊昇龍自身が驚いたようだ。

大関昇進の伝達式は26日に部屋で行われる予定。口上については「この後、考えるんじゃないですか。(盛り込もうとしている言葉などは)正直に言います。ありません(笑い)」と話した。万能な取り口の一方で「型がない」と指摘する親方衆もいるが「型がない方がいいのかなと思う。その方が自分にとってはいい」ときっぱり。今後も多彩な取り口で白星を積み上げていく考えだ。

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