大相撲で大関経験者の朝乃山(29=高砂)が、地元富山県で5000人のファンを前に、<1>来場所の2桁白星、<2>優勝争い、<3>大関復帰と3つの誓いを立てた。

25日、富山・黒部市で行われた夏巡業に参加。7月の名古屋場所中に左腕を痛めた影響で、途中休場もあった7月末からの今回の巡業では、初めて朝稽古で申し合いに参加し、関脇若元春から2勝するなど、計3勝2敗で地元ファンを盛り上げた。コロナ禍と6場所の出場停止などで、4年前の巡業以来となる富山県内での相撲だったが「一段と拍手が多くなった」と、大フィーバーで迎えられ、感謝しきりだった。

23日に神奈川・平塚市で行われた部屋の合宿から、若い衆と10番ほど相撲を取る稽古を再開したといい、左腕の痛みは「気にならなかった」と、順調な回復を強調した。東前頭4枚目で臨んだ名古屋場所は、4日間の途中休場がありながら、8勝4敗3休と勝ち越した。番付を上げて臨むことになる次の秋場所(9月10日初日、東京・両国国技館)に向けて、この日、地元の小中高生による質問コーナーの最後に力強く宣言。「先場所は8勝しかできなかったので、来場所は2桁以上、優勝を目指して頑張りたい。また、元の地位に戻れるように頑張ります」。こう話すと、割れんばかりの拍手が起きた。

大勢の地元メディアも駆けつけた。相撲協会関係者によると「今回の巡業で最多」と、約30人の報道陣が集まったのも、地元の期待の表れ。会見でも言葉は熱を帯びた。「まずは、もう1度、ケガしない体をつくって、番付が上がるので、今年目標にしていた三役、2桁以上を目指して頑張りたい。2年前に不祥事を起こして、もう応援されないかなと思っていた。でも、こうして帰ってきたら、歓声をいただきましたので、それを力に変えて三役、元いた番付を目指してやっていきのが恩返しかなと思います」。この日、地元ファンに向けて立てた誓いを果たすため、まずは2週間余りで始まる秋場所を見据えていた。