大関貴景勝(27=常盤山)が、優勝決定戦の末、逆転で4場所ぶり4度目の優勝を飾った。

本割で4敗で並んでいた関脇大栄翔を撃破。先に敗れていた前頭熱海富士との優勝決定戦に勝った。その裏には高校時代の同期の付け人の支えがあった。

友に支えられてつかんだ4度目の優勝だった。今場所の貴景勝は、勝っても負けても取組後、風呂に入る前に付け人2人と、約5分間の反省会を行っていた。1人は一昨年名古屋場所から付け人を務める、同じ二所ノ関一門で阿武松部屋の幕下・土佐緑。もう1人は三段目の清乃海で、一門の異なる出羽海一門の玉ノ井部屋の力士で、今年夏場所から付け人となった。実は2人は埼玉栄高相撲部の同期。同高時代5人だった同期のうち大相撲に入らなかった1人、けがで引退した1人を除き、3人全員が集結した格好だ。

清乃海とは小学4年で初対戦して以来、仲が良かった。わんぱく相撲の全国大会は清乃海が3年連続横綱で、貴景勝は大関止まり。ライバルから高校でチームメートとなった。清乃海は「頼りになるエース」と、高校時代の貴景勝を称し、小学校時代と番付が逆転していたが、努力家の貴景勝を「尊敬する」と語った。小学生時代から自身の相撲を知るだけに、夏場所前に貴景勝が付け人に誘い、玉ノ井親方(元大関栃東)も快諾。悪癖などが出ていないか、毎日の取組後、貴景勝は土佐緑とともに意見を求めた。

清乃海は「自分から話しかけることはないけど、意見を求められるので毎日、真剣に大関の取組を見ている」と明かした。結果、自身の相撲勘も磨かれ、今場所は3場所ぶりに勝ち越した。自ら付け人を志願した土佐緑とともに「少しでもサポートしたい」と声をそろえる。この日、そんな2人の親友の支えが力になったか問われた貴景勝は「そうですね。1人だと、まわしすら着けられないし」と冗談めかして笑った。高校3年間、寮生活を送った今は3人だけの同期。5分間の反省会の時だけ、青春時代を思い出したように、貴景勝は喜怒哀楽の表情を見せていた。【高田文太】