大相撲の大関貴景勝(27=常盤山)が、秋場所千秋楽での4度目の優勝から一夜明けた25日、東京・両国国技館で会見した。千秋楽は本割で、4敗で並んでいた関脇大栄翔を破り、優勝決定戦で、東前頭15枚目の熱海富士を破った。15日間を振り返って「(7月の)名古屋場所を全休していたので久しぶりの場所。長く感じた印象。(同体)取り直しも2回あって、決定戦もやって、純粋に番数も多かったし。土俵勘は変わらないけど、本場所独特の体感時間が違う。ただ疲れた」と語った。

幕内2場所目、21歳の新鋭との優勝決定戦は「大相撲の歴史の中でも、番付の重みを示してきた先輩方の顔に、泥をぬるようなことは避けたいと思っていた」と、大相撲の歴史を背負って土俵に立っていたと語った。11勝4敗での優勝は、1場所15日制が定着した1949年5月場所以降では4度目となる最少の白星。次の九州場所(11月12日初日、福岡国際センター)が綱とり場所になるとは、佐渡ケ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は明言していない。ただ、来場所で全勝や14勝などのレベルの高い優勝を果たせば、横綱昇進の可能性もグッと高まる。

千秋楽の土俵下での優勝インタビューでは「もう1回、横綱の夢に向かって」と語り、昇進への意欲をにじませていた。2、3度目の優勝は大関として飾りながら(1度目は小結)、ともに綱とりの翌場所を休場。この日の会見でも、横綱への思いを語った。

貴景勝 「自分が決めることではないので。精いっぱい相撲を取るしかないと思っている。皆さんに認められて、上がれる地位。あとは頑張るしかない、一生懸命やるしかない。結果が伴ってくれれば、いいなと思っていますけど。みんなに認められての最後の地位。2回失敗しているので『三度目の正直』になるのか『二度あることは三度ある』なのか分からないけど、一生懸命やることしかできない。あきらめたら、絶対にできない。現役を終えるまで、ひたむきに頑張っていきたい」。

過去2度の綱とり失敗で得た教訓、今後の改善点なども語った。

貴景勝 「次の場所までは、場所休みを除くと1カ月か、1カ月ちょっとしかない。その1カ月で強くなったり、弱くなったりはしないと思う。2回ともケガしてしまって、星もあがらなかったというのは、優勝争いをすると自分のキャパ以上のパワーを、精神的にも肉体的にも酷使する、そのリカバリーが足りなかったのかなと思う。見えないところで力を使っているところはある。しっかりと回復させてから、また鍛えていかないと。中途半端にやっても良くないのかな、と。それも合っているか分からないけど。最後の番付にいけたら分かることなのかな、と思っている。一言で言うと、まだ実力がない。ただ、それだけ。1場所優勝するのと、2場所連続優勝するのでは、難しさがケタ違いですから。その難しさに対して、実力が足りていなかったからダメだったと思います」。

会見の最後には、報道陣の要望に応じて写真撮影のためのポーズをつくり、笑顔を見せた。本場所中の張り詰めた雰囲気から一転し、本来の明るさをのぞかせた。10月4日から始まる秋巡業まで、まずは疲労回復に努め、横綱昇進に向けた準備を進めていくつもりだ。