大相撲の元関脇寺尾で、17日に60歳で死去した錣山親方(本名・福薗好文)の告別式が23日、東京・江東区の錣山部屋で営まれた。現役時代は細身の体ながら闘志あふれる突っ張りで昭和から平成の土俵を沸かせ、高い人気を誇った。現役を長く務めた「角界の鉄人」とのお別れになった。

正午前の出棺では、沿道を埋め尽くしたファンから「寺尾、ありがとう!」の声がかけられた。棺の後ろを歩いた弟子の小結阿炎は号泣。立田川親方(元小結豊真将)ら弟子の手で、棺が霊きゅう車に運び込まれた。クラクションが鳴らされて霊きゅう車が出発すると、再び「寺尾、ありがとう!」などの声がかかる中、見送られた。

式には高田延彦、向井亜紀夫妻、鶴竜親方(元横綱鶴竜)、陸奥親方(元大関霧島)、浅香山親方(元大関魁皇)、大関霧島、琴ノ若らが参列した。

錣山親方の父は元井筒親方(元関脇鶴ケ嶺)で、長兄の元十両鶴嶺山、次兄の元関脇逆鉾(いずれも故人)とともに「井筒3兄弟」として活躍した。1963年(昭38)生まれの寺尾や北勝海、双羽黒、小錦らは「花のサンパチ組」と呼ばれた。

通算出場回数1795回は歴代4位。幕内出場1378回は同5位で、幕内在位93場所は同6位。三賞は7度受賞した。

02年秋場所限りで現役引退後、04年1月に錣山部屋を創設。立田川親方(元小結豊真将)や阿炎らを育てた。