[ 2014年6月28日8時40分

 紙面から ]1次リーグ敗退が決まり、ピッチに横たわる韓国イレブン(撮影・PNP)<W杯:韓国0-1ベルギー>◇1次リーグH組◇26日◇サンパウロ

 アジアが全滅した。韓国がベルギーに敗れ、日本と同じ1分け2敗のH組最下位で、1次リーグ敗退が決まった。これで今大会のアジア勢は計3分け9敗と勝ち星なし。次回W杯での出場枠削減を求める声が出る可能性も出てきた。ここまでの惨敗はなぜ起こったのだろうか。

 韓国が屈辱的な敗戦を喫した。ベルギーは第2戦から先発を7人も変更しており、前半45分にはMFデフールが一発レッドで退場となった。だが、10人となった「2軍」ですら崩せなかった。中盤のパスはつながらず、伝統のロングボールも不発。決め手を欠く中、後半33分にGKキム・スンギュ(23=蔚山)のはじいたボールを押し込まれた。その姿は、控え組中心のコロンビアに完敗した日本とも重なった。

 ホン・ミョンボ監督(45)は「私が監督として力不足だった。選手はすべての過程でベストを尽くしてくれた。これは私の失敗だ」。昨年6月の就任から1年、国民的英雄が率いるチームへの期待度は高かった。来年1月のアジア杯まで任期はあるが、韓国内では辞任を求める声も高まっているという。だが今大会は韓国だけでなく、アジア勢が全滅した。通算3分け9敗。W杯の未勝利は90年イタリア大会以来、24年ぶり。事態は深刻だ。

 なぜアジアは勝てなかったのか?

 まず地球を半周近く移動しないと南米にたどり着けないという、地理的な不利はあった。加えて高温多湿の気象条件、南米大陸でのプレー経験の乏しさもある。一方で、名古屋も指揮したイランのケイロス監督は「欧州のまねに固執しているから差は年々、広がっている」と指摘する。まねを続ける限り、それに勝る新たな戦術を生み出し続ける欧州勢にはかなわない-。

 例えば日本。パスを細かくつなぐ「ティキ・タカ」というスペイン路線を模索した。11年のアジア杯を制した当時は「アジアのバルセロナ」と呼ばれた。だが本家バルセロナも今季は6季ぶりの無冠。欧州では「徹底的なプレスからショートカウンター」というティキ・タカ対策が完成している。そんな中でスペインを模倣し続けても結果は出ない。日本人の特長とする勤勉性や粘り強さをより濃くした独自の戦い方をアレンジする必要がある。他のアジア諸国に至っても同様だ。

 そして今大会のアジア勢の惨敗により、現在4・5枠(大陸間プレーオフを含む)のW杯出場枠が削減される可能性が出てきた。来年の国際サッカー連盟(FIFA)会長選で5選を目指すブラッター会長が、大票田のアジア連盟(AFC)から反感を買う削減案を推し進める可能性は低いが、他大陸連盟からの圧力にさらされるのは必至だ。アジア全体が奮起し、世界を納得させる戦いができなければ、状況は悪化しかねない。

 ◆アジア勢のW杯

 今大会は4カ国すべて最下位で1次リーグ敗退。アジアから4カ国が出場した98年大会以降では初のケースとなった。1カ国も決勝トーナメントに進出できなかったのは98年、06年に次いで3度目だが、98年はイランが3位、他3カ国が最下位、06年は韓国が3位、他3カ国が最下位だった。また、今大会は4チームあわせて0勝3分け9敗の勝ちなし。アジア勢の白星なしは、現行の方式となった98年大会以降初めてで、韓国とUAEの2カ国がともに3戦全敗だった90年大会以来24年ぶり。