NMB48のデビュー当時からの絶対的エース山本彩(25)が30日、アイドルグループからの卒業を発表した。この日は、東京・中野サンプラザでNMB48の夏の全国ツアーがスタート。最後の曲に入る直前に、自ら切り出した。卒業時期は未定で、後日に詳細を発表するとしたが、年内で活動を終了する見込み。来年早々にも新曲発表、ライブ活動の予定がある。卒業後はソロアーティストとして活動するが、すでにその準備に入っている。

 普通に司会進行していた山本彩が、最後の曲の紹介をしかけたところで「その前に、ここで私から発表があります」と切り出した。静まりかえる客席。予想はできるが、聞きたくない。一瞬で、そんな重苦しい空気に包まれた。

 深呼吸をしてから「私、山本彩はNMB48を卒業します」と告白した。「うそでしょー」との声に、ほほ笑みながら「こんなうそはつきません」と切り返すと、そこから約11分。責任感ある山本彩らしく、丁寧に気持ちを説明した。

 「何度も卒業という2文字と向き合ってきました」

 「考えては取り消しての繰り返しでした」

 「もっとみんなと一緒に頑張りたいなとも…」と話した時は、涙がこぼれた。

 ここ数年、NMB48は、あえて絶対的な人気の高い山本彩を出演させない、将来を見据えたライブやイベントを催してきた。「新しくセンターに立つ子が出てきたり、1歩引いたところ(客席)から見ていると、私がもういない方がいいんじゃないかという(遠慮の感情)よりかは、このタイミングで私が離れる方がNMBがもっと成長する良い起爆剤になるんじゃないかと思うようになりました」と、胸の内を明かした。

 今年は13歳年下の新人も入った。頼もしい若手らに後を託し、シンガー・ソングライターの夢だけを追う時が来た。「私は弱くて未熟なんですけど、こうやって挑戦することこそが豊かな人生が作れると思ったので、勇気をふりしぼって決心しました」。

 アイドルは卒業も、ステージこそが生きる場所だ。「私の夢はまだまだ終わっていません。生涯現役が目標。もっともっと音楽を勉強して一生涯、皆さんの前で歌い続けられる人間でいたいと思っています」。

 長く悩んできた分、告白に迷いはみじんもなかった。胸を張って言い終えると「しんみりはNMBらしくないので、やっぱり最後は笑顔で盛り上がっていきましょう!」と、明るいステージをやりきった。

 卒業時期は未定で、後日詳細を発表するとしたが、関係者によると、年内いっぱいで活動を終えるという。そのためには、握手券付きの新曲予約が始まる8月の前までには、発表しなければならなかった。AKB48でのソロセンター曲「365日の紙飛行機」で、NHK紅白歌合戦…。そんなフィナーレになりそうだ。【瀬津真也】

 ◆山本彩(やまもと・さやか)1993年(平5)7月14日、大阪府生まれ。10年創設時からキャプテン。11年7月の初シングルから、グループでただ1人、シングル全曲で選抜。選抜総選挙での自己最高位は、16年の4位。同年末の紅白選抜では、指原莉乃を抑え1位。愛称「さやか」「さや姉」。