NGT48中井りか(26)が8月31日、新潟市内で卒業公演を行う。

憧れだったアイドルとして、2015年8月21日に、みなとぴあ(新潟市歴史博物館)のステージに立ってから2933日。アイドル人生に、終止符を打つ日が来た。

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言いたいことは言う。だから、だから時に「炎上」もする。中井りかというアイドルが語られるとき、決まってついてくるワードであり、多くの人がイメージする姿だろう。

「中井りかです!」

オーディション会場で見た第一印象は「ガーリーなファッションに身を包んだかわいらしい子」。好きな言葉は「度胸と愛嬌(あいきょう)」。度胸と言う割には、生放送初出演前の楽屋の隅で「おなか痛いよぉ」と緊張し、しおらしくしている姿は今でも強く印象に残るが、取材で話を聞くうちに、アイドルが大好きで、とりわけ渡辺美優紀(元NMB48)をリスペクト。ファンを“釣り上げる”「釣り師」の異名もしっくりとくる愛嬌は確かに持ち合わせており、アイドルとしての自己プロデュース力の高さも感じていた。

ブレークしたのは、アプリ「SHOWROOM」での配信だ。編集なしの生配信での素直な物言いは“アンチ”も生んだが、ファンも生んだ。気が付けば、グループのデビューシングル「青春時計」でセンターを務め、AKB48のシングルでも選抜入り。事務所も移籍して、どんどんキー局のバラエティー番組にも出演するようになった。

個人での活躍の場が増えるほど、グループでの活動時間も必然と少なくなる。多忙な日々の中で、本当にやりたいことと、タレントとしてステップアップしていく上で必要なこと…。そのギャップに苦しみ、鬱憤(うっぷん)が時に態度に、時にSNSを通じて表出することもあった。

なんでも器用にこなせるタイプでもない。身内になればなるほど、恥ずかしさもあってあまり言葉にはしてこなかったと思うが、常に心の中心には「アイドル=NGT48」があったようにみえる。取材の際も、例えば記者がインタビュー取材をする際、時間の半分、いや3分の2は、決まって「どうすればグループはもっと良くなりますか?」「○○ちゃんはこういう個性があると思うんですけど、どうしたらいいですかね? いかがですか?」「私でよければ手伝いますよ」といった具合に、グループについて、メンバーについての“雑談”がほとんどだった。

昨年、番組のロケで滝行を行う企画を同行取材した。メンバーには事前に伝えないサプライズ。一番難色を示しそうだった(とこちらが推測した)中井が、「みんなで入りましょう!」と自らが他のメンバーを引っ張る姿に、頼もしさを感じた。とにかく中井は“仕事人”なのだ。

「私、丸くなりましたよね?」

最近の取材ではそう自身を語ることも少なくないが、アイドルという肩書はなくなっても、中井りかは、「ありのままの中井りか」でいてほしい。【大友陽平】