OSK日本歌劇団「レビュー夏の踊り」が7月5日から東京・新橋演舞場で上演される。14年、16年、17年に続いて4回目の演舞場公演だが、今回の公演を最後にトップスター高世麻央が退団する。高世のさよなら公演でもある。

 OSKは1922年に大阪で生まれた、今年で96周年を迎える女性だけのレビュー劇団。宝塚歌劇団、今はないSKD(松竹歌劇団)とともに「3大レビュー劇団」とも言われた。笠置シヅ子、京マチ子も出身者で、「ダンスのOSK」と定評があったが、03年、当時の親会社近鉄からの支援打ち切りで、解散公演が行われ、いったん長い歴史に幕を下ろした。しかし、団員やファンの存続活動が起こり、その結果、04年に大阪松竹座で復活公演を行った。解散公演時に69人いた団員は23人に減っていたが、その中に96年に入団した高世もいた。

 高世は「(復活公演を)大阪松竹座で上演できると聞いた時の、信じられなかった思いを今でもよく覚えています。いろいろありましたが、こんなに長く大好きな舞台をOSKでできると思っていなかった」と振り返る。歌、ダンス、演技と3拍子そろった「貴公子」として人気があり、14年にトップスターに就任。以降、上り調子のOSKをけん引した。「トップ就任の時はうれしくありがたく感じると同時に、歴史ある劇団の重みと責任、自分がどういう役割を果たせるかということを考えた。歴代のトップたちの姿を思いつつ、あがきながらもがきながら、今の形ができたと思います」。

 現在、団員数は52人に増え、公演の場も多くなった。解散危機を知るのも、高世以外には1期下の桐生麻耶ら3人だけになった。高世は「ラストステージになりますが、OSKはさまざまな魅力を持っているので、4年後の100周年に向け、東京での公演も増やせるよう、もっと皆様に見ていただけるチャンスを増やせたら」と切望した。高世はOSKとの出会いを「自分の人生において宝物を得た」と表現するが、「本当にそういう思いです。OSKの魅力は、みんなの舞台に臨む思いにある。96年間で先輩方が培ったことを、私も最後の最後までつないでいきたいし、お客様に何度でも見たいと思っていただけるようになりたい」。言葉の1つ1つに、在団22年で育んできた「OSK愛」が詰まっている。【林尚之】