桂宮治(45)が日本テレビ系の人気演芸番組「笑点」の大喜利メンバーに入った。司会の春風亭昇太が会長を務める落語芸術協会の所属で、31歳の時に化粧品のセールスマンから落語界に転身。昨年2月、落語芸術協会では29年ぶりに、5人抜きの抜てきで真打ち昇進した。

実は5年半前に、「笑点」の大喜利メンバーに「桂宮治がいい」という内容の記事を日刊スポーツに掲載したことがある。当時、司会だった桂歌丸さんが勇退し、春風亭昇太が司会に就任した。1人空席となった大喜利メンバーに誰がなるのかと話題になった時だった。「笑点」関係者の口は堅いこともあって、誰が新メンバーにいいかという趣旨の予想記事を書いた。宮治はまだ二つ目だったけれど、メンバーの高齢化が進んでいたことから、若くて勢いのある爆笑派の宮治が入れば、「笑点」も活性化するとの思いがあり、2、3人の名前を挙げた中で「宮治がいい」と書いた。ただ、その時の記事の見出しが「宮治が有力」となり、あたかも宮治が新メンバーの有力候補のような誤解を招くのではとの心配もあったけれど、あえて、訂正しなかった。

結果は、林家三平がメンバー入りした。直後、宮治が出演する落語会に行った時、宮治はまくらで記事のことを取り上げた。「朝から『おめでとう』という電話やメールが入って、何かと思ったら、『有力』という記事が載っていた。いい迷惑ですよ、日刊スポーツ!」と笑いを取りながらも、ちょっとご機嫌斜めだった。その時は「穴があったら入りたい」という言葉通りの心境になった。あくまで予想記事だったが、それが宮治に嫌な思いをさせたとすれば、申し訳ないと思った。しばらく「しこり」となって心の奥深くに残っていた。

それから5年半がたって、三平が身を引く形で「笑点」を去り、後任に宮治が入ることになった。新メンバーとしての「笑点」登場は23日の放送から。三遊亭円楽は「うるさくなるね」とぼやいているけど、宮治スタイルを貫いて、「笑点」を盛り上げてほしい。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)