落語協会(柳亭市馬会長)の新真打ち4人の昇進披露興行が盛大に行われています。3月下席の鈴本演芸場を皮切りに始まり、4月上席は新宿末広亭で興行中です。春風亭ぴっかり改め蝶花楼桃花(ちょうかろう・ももか)、美るく改め三遊亭律歌(りっか)、鈴々舎八ゑ馬改め柳家風柳(ふうりゅう)、林家はな平の4人それぞれが日替わりでトリを務めていますが、中でも、話題となっているのが桃花です。

桃花がトリの日に来場した人全員に、特製タオルが配られています。蝶花楼桃花の名前入りで、鈴本演芸場での大初日はピンク色でしたが、その後も毎回色変わりのタオルが配られています。桃花のトリの日は国立演芸場までの全興行中で13日あり、13色のタオルを用意しているそうです。このタオル、桃花が登場した時に、観客によって振り回されていますが、先日の鈴本演芸場での最後のトリの時は、終演後に観客全員がタオルを広げて掲げ、舞台上から桃花や客席も映り込んだ珍しい写真が自身のブログで掲載されました。タオルはすべて桃花の自腹ですが、それだけファンへの感謝の気持ちが強いのでしょう。

鈴本演芸場の大初日の披露口上に同席した師匠の春風亭小朝が、超満員の観客を前に「今ここにいらっしゃる、彼女を追いかけてくれたお客様が…」と涙で絶句する場面がありました。女性落語家だけにさまざまな苦労、悔しいことなどがあった中、多くのファンに支えられてきた愛弟子の晴れ舞台に感無量となったようです。披露興行は5月まで続きますが、桃花は5月に品川プリンスホテルで「真打ち昇進記念スペシャルディナーショー」、6月には有楽町のよみうりホールで真打ち披露公演を開催します。披露興行の前に取材した時、「大きな会場をお客さんで埋めてみたい」と話していました。ちなみに、よみうりホールは定員1100人で、立川談志もよく落語会を行っていました。由緒あるホールを満席にできるのか。桃花師匠の挑戦に注目です。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

新真打ち昇進披露興行で蝶花楼桃花が配ったタオル
新真打ち昇進披露興行で蝶花楼桃花が配ったタオル
22年2月21日、落語協会の真打ち昇進会見に出席した、左から三遊亭律歌、蝶花楼桃花、柳家風柳、林家はな平
22年2月21日、落語協会の真打ち昇進会見に出席した、左から三遊亭律歌、蝶花楼桃花、柳家風柳、林家はな平