物価高の昨今、演劇界も例外ではありません。

昨年7月からロングランが続く人気舞台「ハリーポッターと呪いの子」のチケットも6月から値上がりが決まっています。平日の料金はそのままですが、土日休の料金は値上げとなり、SS席は現在の1万7000円から2000円値上げされ、1万9000円となります。劇団四季でも1月からチケット料金を値上げしており、その波は広がっていくでしょう。

その中で、若い人を対象に無料で見ることができる公演もあります。劇団民藝では、支援者からの寄付金をもとに25歳以下の若い人を対象に人数限定の「ルーキーシート」を設定しています。これは事前にウェブ登録をしてもらい、年2回無料で観劇できるシステムで、2月11日から始まる「ノア美容室」も対象です。このような寄付をもとに若い人に無料で見てもらう「ギフトシート」は俳優座など他の劇団でも採用されています。

また、青年劇場では2月23日から「行きたい場所をどうぞ」が始まりますが、初日23日に限っては中高生無料デーとしています。同舞台は1歩を踏み出そうとする若者を主人公としていて、同じ世代の中高生に見てほしいとの思いから、無料デーを設けたそうです。

新劇系の劇団は観客の高齢化が進んでいます。私も劇団民藝、青年劇場の公演は欠かさず見ていますが、客席を見ると、ほとんどが私と同世代以上で、若い人は少ないのが現状です。そのためにユース割引など若い人対象に低料金のチケットを設定しており、中高校生なら「ノア美容室」は1000円、「行きたい場所をどうぞ」は1100円です。コロナ禍で学校などでの演劇鑑賞会も激減し、生徒・児童が演劇を見る機会が少なくなっている中、若者への観劇支援の動きが注目されます。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)