月組スター彩海せらが、兵庫・宝塚バウホールでの初主演作「ミュージカル『Golden Dead Schiele』」を完走した。公演は1月24日に幕を開け、2月4日に千秋楽を迎えた。

伸びやかな歌声、情感のこもった芝居、品のあるダンス。3拍子そろう期待のスターが、研8(入団8年目)でバウのセンターに立った。作・演出は熊倉飛鳥氏。彩海は、20世紀初頭のオーストリアを舞台に、新進気鋭の天才画家エゴン・シーレを熱く表現した。

斬新な色彩、構図で注目を集めたエゴン。亡き父と同じ鉄道局員になることを望まれながらも、画家への夢をあきらめず、巨匠クリムトに師事。「銀のクリムト」と呼ばれ、夢への道を進むが、妹ゲルティとも離れ、仲間たちとも仲たがいする。

孤立を深めつつも、絵筆を握り続け、クリムトから紹介されたモデルのヴァリと心を寄せ合っていくが…。

彩海は、非凡な才能を持ちながらも、「死の影」とも闘う天才画家を繊細に演じた。クリムトには夢奈瑠音、モデルのヴァリは白河りりがふんした。

彩海は16年入団の102期生。雪組時代は4年目だった19年「壬生義士伝」で新人公演初主演に抜てき。22年1月に月組へ移り、新人公演を卒業した研8でバウ初主演を射止めた。

開幕前日の23日夜には、通し舞台稽古で最終確認。スタッフに向かい、その前日22日からの舞台を使っての稽古に「誠にありがとうございます。明日からの公演もよろしくお願いいたします」。丁寧に、感謝の言葉を口にして初日に備え、無事に千秋楽まで走りきった。【村上久美子】