新ドラマが続々と開始。視聴率を見る限り、「Get Ready!」「警視庁アウトサイダー」「罠の戦争」あたりが好発進といったところでしょうか。

妻夫木聡、藤原竜也、松下奈緒と主演クラスを並べた「Get Ready!」に、サスペンス×コメディー×ラブ×報復劇ととにかく詰めに詰めた「警視庁アウトサイダー」。そして「銭」「うそ」ときて戦争シリーズ第3弾となる「罠の戦争」。こちらは草なぎ剛が久しぶりに民放ドラマ主演で話題に。他にも前クールの「silent」同様、ネットを中心にじわじわと人気が出そうな「ブラッシュアップライフ」などにも注目したい。

さらにもう一作品、ドラマ「リバーサルオーケストラ」。こちらもネットでの評判がよく、じわじわと盛り上がっていくと予想。ストーリーは門脇麦演じる元天才バイオリニストが変人マエストロ(田中圭)に巻き込まれ、地元のポンコツオーケストラを一流に仕立てていくというもの。

公式サイトに「日本中を元気にするドラマ」とうたっている通り、一流を目指す上で数々の障害を乗り越えていく様が実に爽快。また、毎回クライマックスで演奏シーンがあるが、それがまた素晴らしい。改めて音楽と映像作品の親和性を感じさせる内容になっている。キャストも実力派俳優を多数起用、今後ブレークして欲しい作品である。

そこで今回紹介したいのは、「リバーサルオーケストラ」で主演を務める門脇麦。ニューヨーク生まれの現在30歳、バレリーナを目指していたが中学生の時に断念、後に女優の道へ。2013年に「チョコラBB Feチャージ」のCMで話題になり、映画を中心に活動しはじめる。

彼女をはっきりと意識しだしたのは、2014年の映画「愛の渦」。過激な内容の上、体当たり演技を魅せ一躍人気女優の仲間入り。そこから着実にキャリアを重ね、今回のドラマがゴールデンタイムの時間帯では初主演。柔和なイメージや独特のセリフまわしからどちらかというと捉えどころのない役を演じることが多いが、今回は天才バイオリニストながら、オーケストラの一員を巻き込んでいくリーダー的な役割。過去のトラウマから最初は乗り気ではないが、音楽が好きなことを共通項として徐々に周りに影響を与えていく。

これまでのイメージや見た目からはあまり想像できなかったが、はまり役ではないかと思う。第2話で坂東龍汰演じるフルートの奏者・蒼を説得するシーンがあるが、感情が乗ってグッとくる瞬間であり、改めていい俳優さんだなと思った。本作が人気女優から本格派女優へのきっかけになるのではと勝手に想像しています。ドラマの今後の行方と彼女の活躍に期待大です。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営している。昨年11月には俳優藤原大祐主演の最新作「追想ジャーニー」を公開した。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)