15日にNHK BSプレミアムで放送された「SHERLOCK(シャーロック)4」第2話「臥せる探偵」で、大家のハドソン夫人がシャーロックについて語ったせりふです。誰よりもシンプルにシャーロックを理解していて、ワトソンや、兄のマイクロフトも気付かなかった事件解決の糸口を無自覚に見つけます。奇人変人だけど周りから愛されているシャーロックの魅力がよく分かるシーンで、作品ファンとしては「さすがハドソン夫人」と抱き締めたくなりました。

 名探偵シャーロック・ホームズが現代のロンドンを舞台に活躍する人気シリーズの第4弾。本国の英BBCで今年1月に放送したばかりの最新作が、NHK BSプレミアムで日本初放送されています。主役のドS演出や、天才の頭の中を映像で見せる手法など、日本のドラマにも大きな影響を与えていて、社会からズレまくっている知の怪物を、今回も主演ベネディクト・カンバーバッチがわくわくするセクシーさで演じています。

 痛快でユーモア満載なこれまでのシリーズと違い、シーズン4はかなりダークな世界観。1話「六つのサッチャー」では、盟友ワトソンの妻、メアリーがシャーロックをかばって死んでしまい、名コンビの関係性に大きな亀裂が入るところから始まりました。

 ワトソンの悲しみと、罪悪感で社会と距離を置いてしまったシャーロックという胸の痛い展開。そんな2人に風穴をあけてくれるのがハドソン夫人でした。「答えが分からないとナイフで刺す」というシャーロックの癖からある証拠品がクローズアップされ、2人の友情と、事件解決が大きく動きだします。精神的にシャーロックが追いつめられていく今シーズンは、ワトソンとのユーモアあふれるやりとりが少ないのが残念なのですが、ガミガミうるさいハドソン夫人がいつも通りなことにホッとします。こういうナイスキャラがいい仕事をするのも、人気シリーズのいいところですよね。

 スカートの左側のすそについた跡から、暮らしや依頼の内容まで言い当てるプロファイリングや、メモの日焼け幅から住居を探り当てる思考力など、ダダ漏れする頭脳も相変わらずのスピード感。「数字の3には不思議な力がある。人はなぜか3で安心してしまう」という最後の仕掛けは、どこかで使えそうでわくわくしました。

 そして、ついに登場した妹、ユーラスの存在。1話から実はあちこちに登場していて、圧倒的な伏線力にしびれます。シャーロックに生じていた思考のほころびは、全部彼女が仕掛けたものだったのですね。このシリーズは常に全3話なので、次回「最後の問題」(22日午後10時)がもう最終回。あっという間にロスに襲われそうです。

【梅田恵子】(B面★梅ちゃんねる/ニッカンスポーツ・コム芸能記者コラム)