がんの手術を繰り返し、闘病中のタレント大橋巨泉さんが12日午後9時29分、千葉県内の病院で、急性呼吸不全のため死去した。82歳。

 東京都出身。葬儀・告別式は親族のみで行った、喪主は妻寿々子(すずこ)さん。後日、しのぶ会を開く予定。

 体力の落ち込みが激しく、3月27日に入院し、いったん4月5日に退院、在宅介護に切りかえたが、容体が悪化し、再び4月11日に緊急入院していた。6月27日には関係者が「容体はよくない。体力がもうない」と深刻な状況とし、5月下旬に集中治療室に入ったと説明していた。

 05年に胃がんの手術をし、13年には咽頭がん、14年にはリンパ節のがん、15年には肺がんとリンパ節のがん、今年2月には左鼻腔(びくう)内のがんと、がんと闘い続けてきた巨泉さんが、病魔との闘いを終えた。

 巨泉さんは3月に体力に激しい落ち込みを感じ、同27日に入院したが、がんが見当たらず、在宅介護でも対処可能と診断され4月5日に退院していた。だが、意識が薄れたり、歩行もままならない状態となったため、同月11日に緊急入院していた。容体は思わしくなく、緊急時の備えの意味もあり、5月下旬には集中治療室に入っていた。関係者によると、昨年11月に腸閉塞(へいそく)の手術を受け、その後、体力が衰えていったとし、同手術の影響が最大の要因と思われると説明した。

 巨泉さんは、6月27日発売の「週刊現代」で、94年に「内遊外歓」と題し、08年からは「今週の遺言」と改題して執筆していたコラムを終了した。同誌には「いつまで生きられるか分からない」とし、最近の病状を記していた。3月20日を過ぎたころから体力の落ち込みが激しいと紹介。3月27日に国立がん研究センター中央病院に緊急入院して検査をしたが、幸いがんは発見されず、4月5日に退院し、同日から在宅介護を開始した。

 だが、モルヒネ系の鎮痛剤が合わなかったようで、「この頃から僕の記憶は曖昧になる」と記していた。4月10日には在宅の院長に「今日が危ない」と言われ、急変に疑問を感じ、国立がん研究センター中央病院の医師らに相談。再入院を決断したという。4月11日の朝、病院に向かう途中、「突然、僕の意識は飛んだ」とし、緊急入院の形で担ぎ込まれていた。巨泉さんは、4月5日の退院から「たった5日間で意識も薄れ、歩行もままならない体になったのだから恐ろしい事だ」と当時の心境を記していた。

 また、意識が戻り始めたのは4月末ころからと紹介。それでも「車いすで外に出れば、すぐに高熱を出す始末で何もできない」。さらに「劇的に回復することはなさそうだ」と苦しい心境を吐露していた。

 関係者は、6月27日に日刊スポーツの取材に、容体について「今日、明日、どうこうなるということではないが、かなり悪い。もう体力がない。でも何とか頑張っている」と語っていた。