28日午後、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで「逮捕へ」と各メディアに一斉に報じられた歌手ASKA容疑者(58)は、ブログを頻繁に更新し、容疑を否定するコメントを4度にわたって掲載した。

 元近畿厚生局麻薬取締部長の西山孟夫氏は、自ら110番し、逮捕直前には頻繁にブログを更新したASKA容疑者の行動について「関西弁でいう『ケーボーが回った』(クスリでボケている)状態です。普通では考えられない異常行動は、典型的な薬物に起因する妄想型の精神症状」と指摘する。

 執行猶予期間中に再びクスリに手を染めた。「覚醒剤の恐ろしさです。破綻することが分かっていても手を出す。生涯ずっと残る依存症です。やめることができない」(西山氏)。

 ASKA容疑者は前回の事件後、薬物依存からの社会復帰を支援する民間施設「ダルク」で更生プログラムを受けた。2014年暮れにはダルク主催のクリスマスパーティーで「SAY YES」を歌ったが、ダルクでのリハビリは1カ月しか続かなかった。

 日本ダルクの近藤恒夫代表は「薬物依存は慢性疾患です。短期的に治るというものではない。『やめる』ではなく、今日1日、明日1日と『やめ続ける』んです。やめることは簡単ですが、続けることは難しい。それには伴走者が必要で、一番の敵は孤立です。でも彼は孤立する方にいってしまった」と話す。

 ASKA容疑者に対し、ダルクは「1人ぼっちにならないで。たまには顔を出して」と声をかけ続けたが、ASKA容疑者は足を運ぶことはなかったという。

 薬物事犯は初犯の場合、執行猶予付き判決が一般的だが、近藤代表は保護観察付きの執行猶予にすることが必要と話す。「孤立化を防ぐ1つの方法です。家族などサポートする人がいない人には特に司法の配慮が必要」と話している。