菅田将暉(24)と桐谷健太(37)主演の映画「火花」(板尾創路監督、23日公開)の完成披露試写会が8日、東京国際フォーラムで行われた。

 桐谷は劇中で、三浦誠己(41)演じる大林と漫才コンビ「あほんだら」を組む神谷を演じた。芸人を演じる難しさについて聞かれると東京・代々木公園や渋谷のヨシモト∞ホールで、漫才の練習をしたと明かした。「漫才師の役なので、相方と代々木公園で練習したり…お客さんがはけた後に、∞ホールでスタッフさんや若手芸人さんの前でやったり。相方が『桐谷健太の面白いということをやれば面白い』と言われて、自信になった」と振り返った。

 三浦とは10年前にも共演経験があり「10年前はメチャクチャ嫌なヤツ。台本を見て相方を演じると分かって、どうしようと思った。でも映画の撮影が終わったら大好きになった」と言い、笑った。

 一方、三浦は、お笑いコンビ「トライアンフ」から俳優に転じたお笑い経験者だが、桐谷のお笑いへの情熱に驚かされたようだ。「(桐谷は)練習やり過ぎ。若手の構成作家の前でダメ出しされると言って、行ってケチョンケチョンにされた。(構成作家は自分のお笑い時代の)後輩なんですが」と振り返った。その上で「僕はコントをやっていました。5、6年、舞台でやっていないので怖かった。でも立ち位置まで練習できて、桐谷の情熱にほれました」と桐谷をたたえた。

 菅田は劇中で、桐谷演じる神谷に弟子入りを申し出る若手芸人・徳永を演じた。お笑い芸人を演じた難しさについて聞かれると「難しいなんてもんじゃない。でも、板尾さんがOKって言えば、いいじゃんと思った」と撮影を振り返った。印象に残ったシーンを聞かれると、徳永と漫才コンビ「スパークス」を組む山下を演じた、2丁拳銃の川谷修士(43)の表情を挙げ「墓場まで持っていきたい」と絶賛した。

 板尾監督は、後輩のピース又吉直樹が15年に芥川賞を受賞した原作を映画化することにプレッシャーはあったかと聞かれると「又吉は後輩。年は離れているので気は使った。吉本興業は上下関係がハッキリしているので、又吉も先輩に言われたら断れないだろうから」と語った。そして「漫才の経験のない人には、撮らせたくなかった」とプライドを口にした。

 「火花」は、お笑い業界を舞台裏まで描いた。若手芸人の徳永(菅田)が、漫才コンビ「スパークス」としてデビューも芽が出ず、営業先の静岡・熱海の花火大会で出会った先輩芸人の神谷(桐谷)がコンビ「あほんだら」で常識を超えた漫才を披露する姿と人間性に引かれ、弟子入りを志願。神谷から弟子入りを了承する代わりに自分の伝記を書くよう依頼される。その2人の10年を描いた青春物語。菅田と桐谷が、ビートたけしが1994年にリリースしたアルバム「浅草キッド」に収録された同名楽曲を主題歌として歌ったのも話題となっている。

 この日の舞台あいさつには、神谷の彼女の真樹を演じた木村文乃(30)も登壇した。【村上幸将】