将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(15)が社会現象ともいえるフィーバーを起こした2017年は将棋界に大きなニュースが相次いだ1年だった。

 三浦弘行九段にかけられた将棋ソフト不正疑惑が晴れ、復帰を果たした1月。「ひふみん」の愛称で親しまれた加藤一二三(ひふみ)九段(77)がC級2組の対局に敗れ、フリークラスへの降級が確定、定年規定により年内の対局をもって引退することが決まった。加藤九段は、1954年に当時の史上最年少記録となる14歳7か月でプロデビュー。「神武以来の天才」と称され、通算8期タイトルを保持した。今年1月12日に現役棋士の最年長記録を77歳11日で更新すると、引退決定後の20日には史上最年長勝利を挙げている。そして6月20日、最後の棋戦だった竜王戦ランキング戦で敗れ、現役を引退した。

 加藤九段の記録を62年ぶりに更新し、14歳2か月でプロ棋士となったのが藤井四段だ。昨年12月、その加藤九段を破りデビューすると、今年に入り快進撃を続ける。4月4日にはデビューから負けなしの11連勝の新記録を達成。その後も勝ち続けた藤井四段には連勝記録の期待がかかるようになった。20連勝の声を聞くころには、対局中に注文する昼食にまで注目が集まるなど藤井フィーバーの様相を呈し始めた。6月21日、王将戦予選で澤田真吾六段(26)を破り、歴代1位である神谷広志八段の28連勝に並ぶ。そして6月26日、竜王戦決勝トーナメント1回戦で増田康宏四段(20)を下し、29連勝の歴代最多記録を達成した。

 12月1日、年末の風物詩「ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、「29連勝」が選考委員特別賞を受賞した。また、「ひふみん」がトップテンに選出された。

 今年最後に話題を独占したのは、羽生善治永世七冠(47)だった。12月5日、竜王戦7番勝負で渡辺明竜王(33)を下しタイトルを奪取。これで通算7期目の竜王獲得となり、竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖のすべてのタイトルで永世称号を手に入れる「永世七冠」を史上初めて達成した。今期の羽生永世七冠は「王位」「王座」の2つのタイトルを失い、保持タイトルは棋聖のみと13年ぶりの“一冠”となっていたが、すべては「竜王」に集中するためだったということだろう。

 前人未到の偉業を達成した羽生永世七冠はさらに、囲碁の井山裕太棋聖(28)とともに国民栄誉賞が授与されることも確実となった。1977年の国民栄誉賞創設以来初めてとなる将棋・囲碁の棋士の受賞は、年明けに正式決定される。