埼玉県警に建造物等以外放火容疑で逮捕された後、不起訴処分となった男性の家族が、テレビ朝日の報道で名誉を傷つけられたとして損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は25日、一部で犯人と断定するような報道があったと判断し、同社に220万円の支払いを命じた。

 判決によると、県警は2014年11月に男性を逮捕。テレビ朝日は同月、タオルのようなもので口元を覆った人物が放火する様子を記録した防犯カメラの映像を放送し、男性の名前を挙げて「容疑者の姿を捉えた」とナレーションを流した。男性はその後、嫌疑不十分で不起訴となった。

 テレビ朝日は県警などに裏付け取材をしたと主張したが、佐久間健吉裁判長は「放火犯が男性でなかった場合の悪影響は相当大きく、慎重を期した報道をすべきだ」と指摘。映像の人物が男性だとする根拠が不十分だとした。

 テレビ朝日は「判決内容を精査し、対応を決めたい」としている。男性は16年に死亡し、家族が訴訟を引き継いだ。