落語家桂歌丸さんの訃報を受けて、日本テレビ系「笑点」で歌丸さんの後任として司会を務める春風亭昇太(58)が2日、都内で取材に応じ、「遠く及ばない方」と歌丸さんへの思いを明かした。

 昇太はこの日、自身の高座終わりに取材に応じた。訃報は昼頃、「笑点」スタッフからの連絡で知った。最後に会ったのは4月7日、笑点の前番組「もう笑点」の収録だった。これが1日に放送されたものだという。「調子が良かったみたいでニコニコしていました。時々、大変そうな様子もチラチラ見えていたけれど、自分からは話さなかったです」と、歌丸さんが気丈に振る舞っていたことを明かした。

 物心ついたときから「笑点」で歌丸さんを見てきた。「遠く及ばない方です。まさか一緒に仕事ができるとは思いませんでした。うれしかったです」と、笑点メンバーに加わったときのことを振り返った。歌丸さんに叱られた記憶はない。「自分の仕事に対してはすごく厳しい方だけど、周りにプレッシャーを与えるのは好きじゃなかったと思う」という。

 「笑点」メンバー加入当時から歌丸さんが司会だった。「気を使ってくれる師匠で、番組に入って慣れなくてとまどっていたら、受けてもいないのに座布団をくれた。気を使わせて申し訳なかった」。16年5月からは、歌丸さんに代わって「笑点」の司会に就任した。「昇太さんらしく、気楽に好きにやってくださいよ」と、優しく背中を押してくれた。

 歌丸さんの「高座への情熱」には感嘆しながらも、「僕からすると、もっと休んでゆっくり仕事をしてもらいたかった」と本音も漏らした。「でも、師匠の気持ちがそういう風には向かなかった。普段つらそうにしていても、高座に上がるとピシっとなるのはかっこよかったです」と、最後まで高座にこだわった歌丸さんをたたえた。

 「自宅が遊郭で、戦争も体験されていて、人としてのすごみが違う。追いかけよう、勉強しよう、という感じじゃなかった。だいぶ上の方でした」。最後は「ご苦労さまでした。立派な人生だったと思います。(亡くなったのは)残念だけど、かっこいい人だったと思います。安らかにお休みください」と結んだ。