タレントの伊集院光(50)が、亡くなった落語芸術協会会長の桂歌丸(かつら・うたまる)さん(本名椎名巌=しいな・いわお)を偲んだ。

 伊集院は2日深夜放送のラジオ番組「伊集院光 深夜の馬鹿力」で、歌丸さんの訃報に触れ、「ショックはショックですけど、ある程度、覚悟はできていたので」と語った。

 最後に見た歌丸さんの高座を振り返り、「もう歌丸師匠、壮絶で。すごい状態。車椅子乗って、鼻からチューブ入れてさ、ギリギリまで酸素入れて。普通に歩いて高座に上がれないから、歌丸師匠の出番の前には緞帳(どんちょう)が下がるわけ。車椅子を押して高座の真ん中まで行って歌丸師匠をセットして、酸素のチューブを抜いて…。言っちゃなんだけど、おじちゃんだしご病気だから、くちゃくちゃだよ歌丸師匠、そんな状態では。でも幕が上がる寸前にシャンとして、1本まるまる落語やるわけ。落語の出来もいいんだよ。まぁきちんとした落語をやられるわけ。なんつーのかね。ギリで充電してフルパワー使って戻ってくる決死隊みたいな落語の仕方なんだけど、その落語自体の力の入ってなさっていうのかな、鬼気迫らない感じとかがすごいかっこよくて」と語った。

 伊集院は、17歳で三遊亭円楽に弟子入りし、師匠のカバン持ちでついていった「笑点」の楽屋で歌丸さんに初めてあいさつしたという。歌丸さんから「辞めんなら、もう午後辞めな。やるんだったら、一生やんなって」という言葉を掛けられたと振り返ったが、「結局、その教えも守れずに中途半端な時期に辞めてはいますけど」と自虐。「なんかそんな感じ。そんな感じの人が亡くなっちゃったんだなぁっていう、そういう感じ」と、明るく笑い飛ばしながらも悲しみをにじませた。

 歌丸さんは2日午前11時43分、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患のため、横浜市内の病院で死去した。81歳だった。