NHK制作局エンターテインメント番組部の部長だった男性職員が、NHK内部の女性にセクハラ行為をしたとして今年8月、停職3カ月の懲戒処分を受けていたことが28日、分かった。男性職員は2016年と17年に「紅白歌合戦」の責任者を務めていた。

関係者によると、男性職員から17年春ごろに被害を受けたと、女性から訴えがあり、内部調査を進めた結果、セクハラ行為があったと認定したという。

男性職員は芸能音楽番組畑が長く、紅白歌合戦のチーフプロデューサーなどを歴任したことがある。紅白の司会者や出場歌手の選定に携わっていた。昨年の紅白歌合戦では、特別企画の出演歌手として、引退を翌年にひかえた安室奈美恵さんや桑田佳祐を出演させることに成功するなど、その手腕に対する局内外の評価は高かった。だが、今年6月の定期人事で、制作局とは別の局に異動となっていた。昨年の紅白の成功から、この人事をいぶかる人は多く、「何があったんだろうか」というのが、NHKに出入りする芸能関係者の話題だった。

芸能関係者の間では、この男性職員は性格が温厚でまじめなタイプとされ、人望も厚かったという。それだけに、この人事を不思議に思う人も多く、体調を崩して入退院を繰り返しているとのうわさもあったほどだ。

NHK広報局は「NHKは『ハラスメント防止規程』を定め、厳格に対応しています。セクハラに該当する行為があれば、内規に従って厳正に対処しています」とだけコメントした。処分の日付を含めて詳細については明かしていない。今回のケースは懲戒処分ではあるが、相手のプライバシーなどの権利を侵害する恐れがあるため、公表はしなかったという。