慰問先の広島で被爆し、32歳で亡くなった宝塚歌劇団出身の女優、園井恵子さんが、歌劇の発展に貢献したスターやスタッフをたたえる「宝塚歌劇の殿堂」の顕彰者に新たに選ばれ、31日から、兵庫・宝塚大劇場内にある同殿堂施設での紹介が始まった。

生前の舞台写真や、舞台で使用していた小道具、愛用の扇子などが展示。劇団創始者の小林一三氏から、在団中に送られた手紙なども公開された。

園井さんは岩手県出身。1930年に初舞台を踏み、男役として活躍。母親役や高齢者も含め、幅広い役柄を演じ、一三氏からもその演技力は高く評価されていたようだ。

42年に退団。その後は女優に転身し、映画「無法松の一生」で俳優阪東妻三郎の相手役を務めるなど注目を浴びた。45年8月6日、移動演劇隊「桜隊」の巡業で広島を訪れていた際に広島で被爆。神戸の知人を頼り身を寄せたが、同21日に亡くなった。

「宝塚歌劇の殿堂」は劇団100周年を記念して14年にオープン。生涯男役を貫いた故春日野八千代さんをはじめ歴代のトップスターや、創始者の小林一三氏、演出家らスタッフが顕彰されており、園井さんは105人目。同ブースには、各人ゆかりの品が多数展示されている。