5人組ジャズバンド、TRI4TH(トライフォース)のドラム伊藤隆郎が大阪市内で日刊スポーツの取材に答え、新アルバム『jack-in-the-box』(10日発売)をPRした。

06年のバンド結成後、「踊れる、叫べるジャズ」をコンセプトにインディーズで人気を集め、満を持して昨年メジャーデビュー、国内外のフェスに登場して存在感を示した。「自分たちの持ち味は、やっぱりライブパフォーマンス。ライブでいかに盛り上がるかをイメージして楽曲を作っています」。メジャー2枚目となる本作では、新たに「歌えるジャズ」をコンセプトに掲げて、『Sing Along Tonight』など12曲を収録、アルバム名の通り「びっくり箱」のような1枚に仕上がった。「スタンディングのお客さんを、自分があおって盛り上げるのですが、会場みんなで歌えれば、分かりやすい。メンバーでディスカッションして(楽器だけの)インストゥルメンタル・バンドだけど、歌っちゃうか! ってトライした。これまで以上のパフォーマンスを発揮できる」と、どこまでもライブにこだわった。

新アルバムには、米国のパンクロックバンド、Rancid(ランシド)の代表曲『Time Bomb』(タイム・ボム=95年)を収録。自身が思春期だった「90年代にリアルタイムで聴いていた大好きだった曲で、それこそカセットテープで自分のリミックス版を作って友人と貸し借りしたり。バンド活動のルーツみたいな曲だったから、どうしても収録したかった」と伊藤。世界的ヒット曲だけに、多くのバンドがカバーしているが、ジャズバンドとしては、恐らく前例のない挑戦となった。「パンクが好きなんですけど、そのままカバーするのは高いハードルがある。楽曲にリスペクトの気持ちを込めて、納得いくアレンジができれば、インストゥルメンタルでもやれる。『伝統と革新』じゃないですけど、バランスが大切。ランシドを初めて聴く人達にも楽しんでもらえる1曲になったと思います」。スピード感や格好良さはそのまま、楽器ならではの音の広がりや味わい深さで聴き応えのあるアレンジとなった。もはやジャンル名は「ジャズ」でも「ロック」でもなく、「TRI4TH」といえる独自の領域を進む。

そのランシドが来日してステージに立つ「SUMMER SONIC 2019」東京会場、8月17日のステージには、偶然TRI4THも出演が決まった。「全く聞いていなくて、本当に驚いた。運命かと。多分、自分たちがカバーしたこともランシドは知らないんじゃないかな」と笑顔。「もし機会があれば、アルバム手渡したいな」と少年の目で話していた。

他にも「JOIN ALIVE 2019」など、約20の大型フェスティバルに出演、日本の夏を盛り上げる。10月からは、新アルバムを引っ提げたワンマンツアーを東京・マイナビBLITZ赤坂など全国7カ所で開催。詳細は公式サイト(https://tri4th.com/)を参照。進化系歌えるジャズで、ライブの盛り上がりも必至だ。