俳優柄本明(70)が21日、都内で、主演映画「ある船頭の話」(オダギリジョー監督、9月13日公開)完成披露舞台あいさつに出席した。

柄本の主演は「石内尋常高等小学校 花は散れども」以来11年ぶり。

同作は、オダギリジョー初の長編監督作品。文明の移り変わりに直面した山あいの村を舞台に「本当に人間らしい生き方とは何か」を世間に問う作品だ。柄本は時代に取り残される船頭トイチを演じる。

撮影について「とにかく過酷だった」と振り返り、「監督にとっては思い通りのロケーションだったと思うけど、ちょっと大変だった」とこぼした。また、「なんでこんなに疲れるのかと思ってあらためて本を読み返してみると、ほとんどのシーンに出ていた」と話し、会場を笑わせた。

この日、オダギリ監督(43)謎の少女を演じる川島鈴遥(17)トイチを慕う村人源三役の村上虹郎(22)も登壇した。

同作は8月28日からイタリアで開催される「第76回ベネチア国際映画祭」ベニス・デイズへの正式出品が決まっている。オダギリは出演する映画「サタデー・フィクション」がコンペティション部門に出品されるため、監督&俳優として参加する。「身が引き締まる思いです」と感想を述べた。その上で「(ベニス・デイズは)イタリア映画監督協会選出というのがうれしい。日本だと俳優オダギリジョーのフィルターがかかってしまうけど、そうではなく作家として評価してくれたのは本当にうれしいです」と喜びを語った。

同作について柄本は「今の映画からは逆行するような作品だけど普遍的な問題を扱った問題作」と位置づけた。「なかなかこういう映画はヒットしないので、皆さんの力を貸してください」と話すと、隣にいたオダギリ監督は苦笑した。

オダギリ監督は「そういう映画に挑戦したかったし、それをキャスト、スタッフみんながおもしろがってくれました」とし、「今の流行が全てではないと思うので頑張って見てください」とアピールした。「それから、音や映像は劇場で見て伝わるようにこだわって編集しています。DVDを待つのではなくぜひ劇場で見て欲しいし、それを伝えてください」と訴えた。