スポーツ全般に造詣が深く、ラグビー大好きな歌舞伎俳優片岡亀蔵(58)が9日、日刊スポーツの取材に応じ、ラグビーW杯で快進撃を続ける日本代表にエールを送った。

13日に横浜・日産スタジアムで行われるスコットランド戦も生観戦予定で「すがすがしい試合を見たいです。正々堂々と戦ってもらえればそれでいい」と話した。

現在、東京・歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」の昼の部「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」に出演中。同演目は、山伏に姿を変えた源義経一行が関を越えるいきさつを、弁慶の忠義とともに豪快に描いている。亀蔵は、有名な安宅(あたか)の関を相手チームの強力ディフェンスに例え、義経を大事に守るボールに例えた。「『関を破って通るべし』というところが似てますね」。強力な関も、チームワークで乗り越えられると信じている。

ラグビーとの縁は、青学初等部時代にさかのぼる。初等部には日本で最も歴史のある少年ラグビーチームがあり、3年生の時、入部テストに受かった。亀蔵は「テストといってもよーいドンで走ったりするくらいでしたが。ただ、ちょうど亀蔵の襲名を控えていて、けがをしてはいけないので辞めてしまったんです」。

以後、スポーツ観戦が大の趣味になった。亀蔵は「ラグビーも歌舞伎も団体競技。1人1人のスキルが上がることで、チーム全体のレベルが上がる。人に助けられることもあるし、自分が頑張ったことでうまくいくこともある。体1つで勝負、舞台に出ていくところも似ている」と、重ね合わせる。

スコットランド戦の懸念はやはり台風。「行けなくてうらやましがってる周りのみんなは(試合中止で)引き分けになればいいと言ってます」と苦笑いするが、日本代表のチームカラーの赤を基調にした服も用意した。「スポーツも舞台も生のものを見ることで、自分が成長できる」と話し、日本代表へ「4年前に南アフリカに勝って今回につながってきたように、4年後につながる試合をしてほしいですね」と期待を寄せた。 【小林千穂】

◆片岡亀蔵(かたおか・かめぞう)1961年(昭36)9月15日、東京生まれ。5代目片岡市蔵の次男。屋号は松島屋。65年12月、歌舞伎座「忠臣蔵」で片岡二郎の名前で初舞台。69年11月、歌舞伎座「弁天娘女男白浪」で4代目片岡亀蔵を襲名。中村勘三郎さんが立ち上げた平成中村座やコクーン歌舞伎に常連として参加。今年は亀蔵襲名50周年。映画、美術、音楽にも明るい。サッカー、大相撲、バスケットボールなども観戦。夢はNHKの大相撲中継のゲスト解説。