上方落語四天王の1人で、人間国宝だった故桂米朝さん夫妻を描く喜劇「なにわ夫婦八景 米朝・絹子とおもろい弟子たち」(来年2月1~16日、大阪松竹座)の製作発表が12日、大阪市内で行われ、真琴つばさ(55)筧利夫(57)内博貴(33)桂ざこば(72)が出席した。

ざこばは17年に脳梗塞を患い、休養を経て仕事に戻っているが、今回が舞台復帰となる。「しゃべってる間、ぱっと出てこないときがありますけど、ひとつそのときはよろしくお願いします」とあいさつした。

ざこばが演じるのは米朝さんの師匠、先代米団治役。「会ったことないけど、頭のいい人やったんやろうね。また勉強します」とイメージを語った。

ざこばは7歳のときに父を亡くしており、15歳で米朝さんに弟子入り。米朝さんを実父のように慕い、内弟子修行を終えても、夫人ともども、実の親のように接してきた。ざこばの兄弟子には、天才と称された故桂枝雀さんがおり、米朝さん夫妻にとって、世間知らずなざこばは手のかかる“息子”だった。

ざこばは米朝さん夫妻について「お金出してくれたのは師匠。ご飯食べさせてくれたのはママ」といい「ちゃーちゃん(米朝さん)はいらちやった。お酒をすぐにつぐ。ほっといたら『なんでワシについでくれへんねん』って言ってた」と思い出を振り返った。

「ちゃーちゃん」とは、米朝さんの長男で落語家の桂米団治(60)が子供のころ、父を呼んでいた呼び方をまねたもので、ざこばはいまだ「ちゃーちゃん」を使う。

ざこばにとって久しぶりの芝居には「体はいい。脳があかん。脳みそはどうにもならんね。台本が入ってこない。後遺症や」と笑いながら話した。

会見前に米朝さん夫妻の息子、米団治を演じる内に「頼むで。ヘタしたら消えるで」と伝えたといい、ざこばを「パパ」と慕う内は「パパ、大丈夫。サポートします」と話した。

内は「この世界は何ひとつ分かってないので、1つ1つ勉強します」と意気込んだ。関西ジャニーズJr.として初舞台を踏んだ大阪松竹座への思いは「ジャニーさんが愛した劇場だった」と話した。

会見には米団治も登場。筧が父に似ているといい「トータル的にものを見る雰囲気がオーバーラップします」。真琴には「母は晩年太っていたけど、若いときそっくりです」と話した。

真琴は米朝さん夫人の絹子さんを演じる。絹子さんのイメージは「映像を見たらはんなり関西弁。でも時に勝負師でもあり、愛情と勝負にたけた女性」と話した。

米朝さん役の筧は「重要ですばらしい役。身の引き締まる思いです。舞台で絶対にヅラを落とさないようにします」と笑わせた。