連続爆破テロが東京で起きたら…ショッキングな題材の映画「サイレント・トーキョー」の製作発表会見がクリスマス・イブの日に開かれ、主演の佐藤浩市(59)以下、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、勝地涼とメインキャストがずらりと顔をそろえた。イブの日にテロが起きる映画の設定に合わせた日取りだったが、公開は来年の12月。つまり公開1年前の会見である。

製作発表に始まり、撮影中の取材があり、そして公開前の取材がある。駆け出し記者だった80年代には、そんな息の長い取材サイクルがあり、作品によってはまるで製作スタッフの一員のように作品への愛着がわいたものだ。1年前の会見に久々、そんな往年の大作映画の取材を思い出した。

この30年あまりの間にビデオから配信へと映画の見方も多様化し、映画会社側の宣伝態勢もしだいに後ろ倒しになった。今では公開前の「配給宣伝」に限られることがほとんどで、以前のように撮影現場をのぞく「製作宣伝」は皆無である。

洋画でも海外の俳優の声がそのまま聞ける字幕版より、ふき替え版の上映館の方が多くなっているという。字幕を読むのが煩わしいという理由だそうだ。

時代の流れと言えばそれまでだが、メディア側も映画特有の「手作り感」や海外俳優の声質のようなものを伝える機会は少なくなったと思う。個人的にはもっと映画の奥行きを楽しんでもらいたいと思うのだが。そんな煩わしい話はいいから、サクサクッと要点だけ教えてよ、とおしかりを受けそうである。