現地時間20日から不要不急の外出を控える自宅待機命令が発令され、緊急事態に陥ったLAの現地リポート2回目は、事実上のロックダウンとなった初日の様子や社会的弱者への支援の取り組みなどを紹介する。

外出禁止とは言っても生活必需品の買い出しなどは認められ、外出するための許可は必要ない。ただ、衣料品店など生活に直接支障をきたさない事業は閉鎖を求められ、食料品や日用品、医薬品を扱う店舗やドライブスルー、宅配、持ち帰りが可能な飲食店以外は、娯楽施設やショッピングモールも含め事実上全て閉鎖され、病院の見舞いや高齢者施設の訪問も禁じられた。10人以上の集まりも禁止されたことで多くの人が在宅勤務を余儀なくされ、普段は通勤渋滞で混雑する高速道路はガラガラ。出かける場所がないので多くの人が政府の要請に従っておとなしく家に閉じこもっている。

一方で、この状況下でもスーパーマーケットだけは混雑している。他の人と6フィート(約1.8m)距離を開けることが求められているため、一度に入店できる人数が制限され、入店待ちの行列ができている。トイレットペーパーと卵、牛乳はほとんど手に入らない。タマネギやいもなど日持ちする野菜も入手困難で、パンや生鮮食品も連日完売状態だ。

学校閉鎖に伴い給食が食べられず飢える子供たちを支援するため市内60箇所で食事が無料配布され、いち早く外出自粛が要請された65歳以上の高齢者を対象に開店前のスーパーマーケットを開放し、他人と接触せずにゆっくり買い物ができる配慮も行われている。また、高齢者施設では窓越しに家族と面会する姿があり、高齢者を感染から守りながらも孤立を避ける精神面でのケアにも余念がない。

新型コロナウイルスの影響で打撃を受ける飲食店を救うためにSNSではひいきの店のギフトカード購入を呼びかけたり、宅配サービスアプリが無料宅配を実施するなど支援の輪も広がっている。また、飲食店を解雇された従業員に無料で食事を配布するレストランもあり、「暴動、地震、山火事」を経験したLAは再び一丸となってこの事態を乗り越えようとしている。

【ロサンゼルス=千歳香奈子通信員】