山崎賢人(25)と松岡茉優(25)が主演し、17日に公開予定だった映画「劇場」が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響と政府の「新型コロナウイルス対策基本方針」を受けて、公開延期が決定した。11日、製作委員会が発表した。

行定勲監督(51)は自身のツイッターで「『劇場』を楽しみに待ってくださっていた皆様、本当にすみません」と謝罪した。その上で「私はこの映画に特別な思いがあります。だから、心待ちにしてくださる方たちにいち早く届ける手段も考えましたが、やはり私は映画館のスクリーンで見て欲しいと思いました」と、劇場公開以外の手段で公開することも検討したものの、やはり観客には劇場で見て欲しいという強い思いから、公開延期に踏み切ったことを明らかにした。

行定監督は「観客の皆さんが、安心して心からこの映画で描かれた日常に入り込める日が来るまで延期させてください」と思いをつづった。今後の公開予定は、感染状況および政府、関係機関などの発表を注視しながら、決定し次第、速やかに公式ホームページで発表する。

「劇場」は、又吉直樹の同名小説の映画化作品で、中学時代の友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家と演出家を務めるものの、前衛的すぎる作風が酷評され、悩む永田(山崎)と、女優の夢を描く学生沙希(松岡)が街角で出会い、同居を始める恋愛物語。演劇に没頭していくあまり、世界の中心に自分がいるように周りが見えなくなっていく永田と、永田に自らの夢を重ねて支えようとする沙希の姿、心情を、痛みを感じさせるまでに描いた作風が、映画メディアや専門家筋で評判を呼んでいる。主演2人の高い人気と相まって、上半期の話題作の1つとなっていた。