第33回東京国際映画祭が9日、開幕し、都内のTOHOシネマズ六本木ヒルズでクロージングセレモニーが行われた。

席上で、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてインターナショナルコンペティション、アジアの新鋭監督を集めた部門「アジアの未来」、「日本映画スプラッシュ」と賞を争う3部門を1つに統合し、設置した「TOKYO プレミア2020」全32作品を対象に観客の投票で決めた「観客賞」には、のん(27)の主演映画「私をくいとめて」(大九明子監督、12月18日公開)が選ばれた。

「私をくいとめて」は、作家綿矢りさ氏の同名小説の映画化作品。のんは劇中で、おひとりさまライフがすっかり板につき、脳内にいるもう1人の自分である相談役「A」に相談する31歳の会社員・黒田みつ子を演じた。黒田みつ子が恋をした年下の営業マン多田君を林遣都(29)、みつ子の親友皐月を橋本愛(24)が演じた。のんと橋本が、13年のNHK連続テレビ小説「あまちゃん」以来、7年ぶりの共演を果たしたことも話題となった。

のんは「観客の皆さんに選んで頂いたことがうれしい。何年かぶりの主演で呼んで頂き、心から喜びで、喜びでいっぱいです」とあいさつした。その上で「映画は、観客に見て頂き完成する。この賞も大事に受け止めたい」と感慨深げに語った。

「私をくいとめて」は、東京国際映画祭開幕時から、観客賞への期待が高い作品の1つだ。大九監督は17年に、原作者の綿矢氏の小説を映画化した「勝手にふるえてろ」で同映画祭コンペティション部門の観客賞、主演の松岡茉優は東京ジェムストーン賞を受賞。その原作者と監督が再タッグを組んだ作品として注目されていた。

観客賞には賞金1万ドルが贈られた。