NEWS加藤シゲアキ(33)が9日、都内で行われた「令和2年度・3年度 吉川英治賞贈呈式」に出席した。

加藤は小説「オルタネート」で第42回吉川英治文学新人賞を受賞した。受賞発表後、方々から祝福の言葉を掛けられたといい、加藤は「あまり小説を読まないような知人友人からも『吉川英治文学新人賞、すごいね』と言われた。この文学賞の偉大さを身に染みて感じています」と話した。

「オルタネート」の執筆を始めた2年前は文学賞受賞を想像だにしておらず、「期待していなかった分、今ここに立てていることが夢のよう」。デビュー作の「ピンクとグレー」を書き始めてから10年、「当時思ってもみませんでしたが、ここまで続けてこられた自分をほめてあげたい」と喜んだ。

現在、舞台「モダンボーイズ」に出演中で、昼公演後、会場に駆けつけた。作家として物語を書き、役者として演じる日々の中で「人はなぜこんなに物語を求めるんだろうとふと思った」とし、「救いかもしれないし喜びかもしれないし、一口に言えるものではないかもしれないけれど、物語の力に一度触れた人は、知っているからこそ求めるんだろうなと。それは長く持続しなくて、だからこそ新しいものを求めるんだと思う」と語った。

「書きたい」というエネルギーの一方、自分が書く意味を模索し続けた日々でもあった。「これほど優れた作品の中に自分の作品を並べる必要があるのかと自問自答しつつも、目をつぶる形でそれでも書きたいと思って今日まで執筆を続けてきました」。また「本作が受賞して、『加藤シゲアキ、作家やってもいいんだよ』と慰めていただいた感覚があるし、活のようなものをいただいた」とし、「ここからも頑張って書き続けたいし、僕にとっての心強い味方になった」と感謝を述べた。

村山由佳氏、今村翔吾氏、呉勝浩氏、武田綾乃氏も出席。昨年は新型コロナウイルスの影響で贈呈式を見送っており、今回2年分の贈呈式が行われた。

加藤は同作で第164回直木賞にもノミネートされた。