製作費300万円のインディーズ映画ながら、興行収入31億円超と日本映画史に残るヒットを記録した、上田慎一郎監督(37)の18年「カメラを止めるな!」を、12年のアカデミー賞で作品賞、監督賞など5部門を受賞した「アーティスト」で知られる、フランスのミシェル・アザナビシウス監督(54)がリメークすることが6日、分かった。タイトルは「Final Cut」で、フランスでもコロナ禍が深刻さを増す中、4月19日からパリ郊外で撮影をスタート。日本公開は22年を予定している。同監督は「『Final Cut』の撮影開始に本当にワクワクしています」とコメントした。

「カメラを止めるな!」は、山奥の廃虚を舞台に、37分間ワンシーン・ワンカットでゾンビサバイバル映画を撮影する自主映画の撮影隊を描いた。ゾンビ映画の恐怖感はもちろん、監督が映画作りを追求し、テイクが42に及ぶうちに本物のゾンビが襲いかかる中、大喜びで撮影を続ける監督と次々、ゾンビ化していく撮影隊の狂気とも言える奮闘ぶりを、企画立ち上げから撮影現場の裏側まで生々しく描いた。ノンストップな展開と、物語が途中で大どんでん返しを迎える脚本の妙が話題となった。

「ONE CUT OF THE DEAD」のタイトルで海外でも公開され、特にフランスでは同国最大の日本映画祭「KINOTAYO(キノタヨ)現代日本映画祭」でオープニング作品として上映され、観客投票で決定される最高賞「ソレイユ・ドール」を受賞し、19年3月から劇場公開もされ、話題を呼んだ。

「カメラを止めるな!」で濱津隆之(39)が演じた撮影隊の日暮隆之監督に当たる役を、05年「真夜中のピアニスト」などで知られるフランスの人気俳優ロマン・デュリス(46)が演じる。またアザナビシウス監督の妻で「アーティスト」でアカデミー賞助演女優賞にノミネート、13年「ある過去の行方」で世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭で女優賞を受賞したベレニス・ベジョ(44)らが出演する。脚本も手掛ける同監督は「オリジナル作品の素晴らしいコンセプト、夢のような出演者たち、そして陽気でやる気満々のスタッフがそろって、この愛すべき映画を作れることに興奮しています。まさに映画を撮ることについての作品でもありますからね!」と期待感を口にした。