昨年5、6月に予定されながら新型コロナウイルス禍で延期になっていた、ワハハ本舗の全体公演「王と花魁」(おいらん)が、10月28日から全国13カ所17公演が行われることが決定した。3度目の緊急事態宣言が今月31日まで延長が決定した中、全体公演にかける思いを柴田理恵(62)梅垣義明(61)ポカスカジャン大久保ノブオ(54)と主宰の喰始氏(73)に聞いた。全5回の2回目。

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梅垣 1月、2月に予定していた単独公演が延期になって、結局のところ配信になりました。延期になったらモチベーションが下がるのは仕方がないことなんだけど、配信を初めてやってみた。カメラに向かってね。お客さんがいないわけじゃないですか。改めて舞台のありがたさというか、生身の人間が演じているものを、生身の人間が見るという、人間同士の関係性みたいなものの大切さをつくづく感じました。元々、ワハハなんていうのは超アナログじゃないですか。そういうもののエネルギーを感じることの大切さを改めて思った。配信とかもやっていかなくちゃいけないと思うし、舞台に出たいと切望する気持ちが強くなりました。この1年、できなかった分、今までよりも強くなった気はしますね。

喰 梅垣の1月、2月の公演だって、やろうと思えばやれたんですよ。大阪公演が先だったから、後から東京公演だけがやれなくなったらファンに対して申し訳ないと。やるんだったら同じ時期。どっちかを中止したら両方とも中止にして、延期しようと決めました。どこでもいいからやりたいという声もあったけど、劇場の都合もあるし制作、プロモーターとの打ち合わせの結果、決めました。

大久保 このコロナ禍、YouTube開設して、1人音楽をやっている人もいましたけど、僕は最初はずっと生にこだわっていたので、やりたくないと思っている。ただポカスカジャンでも、他の人のユニットでも、配信ライブというのをいくつかやっていて、その兼ね合いですよね。生の方を貫きたい、でもこれ以上長くなったら配信の方も考えなくちゃいけないっていう。配信でやりたいというわけじゃなく、やるしかないからやっていた。やっぱり生の舞台。ワハハの舞台こそ生で見るもの。やっとそれができるんだという思いがあります。

僕にとってワハハ本舗は、ポカスカジャンが子会社だとすると親会社みたいな感じ(笑い)。そのポカスカジャンの中でも、結構、僕も考えることがあって。コミックバンドなんですけどね。芸人の前では「ミュージシャンです」、ミュージシャンの前では「お笑いですよ」と(笑い)。突き詰めて考えると、お前は何なんだ、と。僕はお笑いが好きなんだ。お笑いの延長、芸人の延長で歌も出しますけど、基本的にはお笑いの人でありたいというのがあった。コロナ禍でもう1回、自分を客観的に見られた。悪いことだけじゃなく、いろいろ感じることができました。(続く)

◆ワハハ本舗(ほんぽ) 84年、東京ヴォードヴィルショーの若手だった佐藤正宏、柴田、久本雅美、喰氏によって旗揚げ。現在は複数のセクションがあり、猫ひろし、正司歌江、ウクレレえいじらが所属。バラエティー形式の公演で人気を集め、下ネタも多い。06年のNHK紅白歌合戦でDJ OZMAに、裸に見えるスーツを貸し出したことも話題となった。