フランスで開催中のカンヌ映画祭「ある視点」部門でオープニング上映されたフランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、日本の合作映画「ONODA（原題）」（アルチュール・アラリ監督、今秋公開）の公式会見が8日、カンヌで行われた。

会見場と都内をリモートでつなぎ、新型コロナウイルス感染対策のためスケジュールが合わず現地入り出来なかった、主演の遠藤雄弥（34）と津田寛治（55）がリモートで参加した。

映画は、太平洋戦争後も任務解除の命令がないままフィリピン・ルバング島で過ごし、約30年後の1974年（昭49）に51歳で日本に帰還し、14年に91歳で亡くなった旧陸軍少尉の小野田寛郎さんの史実を元に、フランスの新鋭実力派監督のアルチュール・アラリ監督（39）が手掛けた。遠藤は小野田さんの青年期、津田はその後を演じた。

2人には、小野田さんを演じるまで何キロやせたかと質問が出た。遠藤は「11キロやせました。カンボジアにクランクインの1週間前に行ったんですが、監督に『やせすぎた。少し太ってください。後々、津田さんが大変になる』と言われました」と気合を入れて体重を落としすぎたと明かした。その上で「助監督がピーナツバターとパン、袋にいっぱいにしてくれて、食べた。あと当時、タバコをたしなんでいたんですが、監督に『やめてください』と言われたのに隠れて吸った。監督、ごめんなさい」とアラリ監督に“リモート謝罪”した。

津田は「1年半くらい時間をかけて13キロ落として臨みました。やせていったのも俳優の意地…この作品に思いをかけているんだと監督に示したくて、やせていったんだと思う」と振り返った。その上で「撮影現場に入ったら、思惑が、まるで間違っていたことに気付いた。監督は小野田さんを忠実に描きたいわけでなく、違うことをやりたいんだと気付いた。何キロやせたい、大和魂を捨てないとかじゃないと、ジャングルでの撮影で気付いていった」と語った。

津田は「ジャングルでの撮影は、すごく大変。いろいろな虫に刺され、直射日光が当たり、頭が真っ赤になる」と撮影を振り返った。その上で「その中、ふと気付いたのは、監督が捕らえた人間の内面は、ジャングルそのものだと思った。僕の中に、来る前にジャングルがあった。遠藤君も…自分の中にジャングルを持っていて、目の前にあるジャングルこそ自分の内面で、中と外が逆転する感覚があった。ジャングルと人の同一性と言うんですか…監督は描きたかったんじゃないか。間違っていたらごめんなさい」と持論を展開した。