歌手白石恭子が14日、東京・三鷹の禅林寺にある作家太宰治の墓前で、今日15日発売の新曲「少しは私に愛を下さい」(作詞・作曲小椋佳)のヒット祈願をした。

同曲は来年春公開予定の安藤政信(46)宮本茉由(26)主演の映画「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」(近藤明男監督)のオープニング曲に起用されている。太宰の代表作「斜陽」が原作という縁での祈願となった。

記念に作った純米酒「斜陽」を墓前に供え、手を合わせた白石は「1974年、今から47年前に小椋佳さんが歌った曲をカバーさせていただきました。いちずに恋をする女性のかわいらしい思いを、オーケストラアレンジで映画音楽にして歌い上げています」。カップリング曲の「朝まだき」は、今年1月に小椋が7年ぶりに発表したオリジナルアルバム「もういいかい」の収録曲から提供された。

太宰については「子供の頃に『走れメロス』を、そして大人になってから『斜陽』を読んでいます。女性に、すごくもてる方だったイメージがありますが、苦悩も多かったのではないでしょうか。供えた『斜陽』はスッキリした飲み口なので、味わって落ち込んだ気分も払えると思います」と話した。

映画「鳩のごとく-」では初めての演技に挑戦、女優デビューする。「戦後の闇市に生きる娼婦役なんですけど、何も分からないので近藤(明男)監督の言う通りに演じるだけです。ぬれ場とかは絶対無理ですが」と言う。

近藤明男監督(74)は大映時代に、勝新太郎の「兵隊やくざ」、市川雷蔵の「陸軍中野学校」といった代表作を手掛けて86年に亡くなった増村保造監督に師事した。「鳩のごとく-」は生前の増村監督が構想したが、71年の大映倒産で立ち消えになっていた。今回の脚本には近藤監督とともに増村監督も名を連ねる“構想50年”の作品だ。

昨年初めから続くコロナ禍で、白石の仕事も影響を受けた。「ステージが中止になったり、キャンペーンが思うようにできなかったりもしました。でも、そんな中でも、この新曲のお話をいただけて幸運なことだなと思っています。コロナ禍が明けたら、キャンペーンをたくさんやって、ファンの方とたくさん触れ合えるコンサートを開きたいですね」と笑顔を見せた。