女性お笑いコンビ、Aマッソが11月1~3日に、単独ライブ「ずいぶんじゃねぇか、なぁスニッツ!」(東京・草月ホール)を開催する。チケットは即完売で、配信チケットの売れ行きも好調。昨年の女芸人No・1決定戦「THE W」をきっかけにブレークした人気者の魅力を探った。3回連載の2回目。

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インタビュー後にラジオ番組の収録が控えていたからか、2人は黒ズボンにオーバーサイズの白い長袖Tシャツという“双子コーデ”で現れた。白色の靴下までおそろいだ。

2人の出会いは小学校5年までさかのぼる。村上(33)は「ズブズブです」と笑う。同級生4人でネタを披露したこともあった。村上は「(残りの2人は)イザワとツジね。初公開。ツジは焼き肉屋さんの息子。2人とも男性です」と懐かしんだ。

ネタを考えたのは、男性陣だったという。村上は「大パクリ。詰め合わせセットもんやな。その時はやっていた(フジテレビ系コント番組)『笑う犬の冒険』とか、新喜劇とかのギャグをちりばめて」と目を細めた。ウケたかどうかは覚えていない。

Aマッソのネタ作成者・加納(32)は「普通に漫才するやつとかいっぱいいたんで、うちらが特別、おもろい2人みたいな空気では全然無かった」。村上も「全然お笑い担当ではない」と同調した。

同じ中学を卒業後、別々の高校に通ったが、家が近所で交流は続いた。大学2年頃に加納が村上を誘う形でコンビ結成した。加納は「なんか村上と久しぶりに会ってなのか、タイミング的にあったんですよね。なんかしようかっていう。『ライブ出ようか』みたいな」。声をかけられた村上は「二つ返事」とうれしそうに振り返った。

村上以外に候補はいなかったのか。加納は「『何かしよう』といって誰か誘うというよりかは、『村上と一緒に何かしよう』やったんで。お笑いを絶対やりたくて誘ったって感じじゃないので、候補とかそういうのではなかったですね」と村上ありきだったことを明かした。「(何をやるか)固まっていないときに、自転車で遠出するとかしていました。(ホームセンターの)コーナンで同じ自転車買って(笑い)」と続けた。

2人でいられれば活動内容は何でもよかった。7000円ほどの「鉛のように重い」自転車を「サーモンピンク村上」「サーモンピンク加納」と名付けて“旅”を楽しんだ。村上は「バックパッカーになっていたかもしれない(笑い)」、加納は「よかったですね、お笑い以外をみつけなくて(笑い)。変なんみつけていなくてよかったです」。

コンビ名は、ライブ出演に際し、必要に迫られて考案した。「最初やばかったけどな…」と村上が切り出すと「三丁目四丁目とか!」とコンビ名候補をハモった。2人の住んでいた番地名だという。近所のカフェの名前「木村屋」にする可能性もあった。加納は「エントリーシート書きながら『はよ決めな』『もう何時までに決めよう』みたいな。後ろ向きなやつやったよな」と隣を見た。

そんな状況で名付けた「Aマッソ」は今年、より広く知られる名前となった。発語感がよく、つい口にしてみたくなる。結成から11年がたち、環境は大きく変わった。村上は加納について「全然変わらない。このまんま」。対する加納は、相方について「Aマッソ村上としては、自信はついてきたんかなっていう気はしますけどね。芸歴もありますからね。そこはお互いやと思いますけど。やっぱりお客さんが増えたっていうのが自信にもなるというか。みてくれる人がおらん時期も長かったので」としみじみ語った。

飛躍した現在地をどう考えているのか。加納は「やりたいことがいっぱいあって時間が追いついていない感じです」。一方、村上は「やりたことのオファーずっと待ち続けています。『次、これやで』っていうオファー。待ってまーす!」と加納に笑顔を向けた。

今年の目標を聞いた。加納は「年末までに結果ですね。何かしら結果出す。『M-1(グランプリ)』。『THE W』。…どっちも」と前のめり。村上は「貪欲ー貪欲ー」とニヤニヤしながら「のっかりますー」とどこまでも力が抜けている。

身長が同じで、髪形もそっくり。YouTubeやラジオで仲の良さが随所に垣間見える2人。積極的に動き回る加納と、どっしり自然体で構える村上の心地よいバランス感が、コンビの魅力なのかもしれない。

◆Aマッソ 2010年結成。加納(かのう)は1989年(平元)2月21日、大阪府生まれ。エッセー「イルカも泳ぐわい。」発売。「文藝」「文學界」などで短編小説を次々と発表。血液型B。村上(むらかみ)は1988年(昭63)6月16日、大阪府生まれ。血液型AB。16、17年「M-1グランプリ」準決勝進出。20年女芸人No・1決定戦「THE W」決勝進出。MBSラジオ「Aマッソのヤングタウン」、テレビ朝日系「トゲアリトゲナシトゲトゲ」(加納のみ)出演中。