役所広司(65)は、2011年(平23)11月7日の発売日から、東洋水産の即席麺「マルちゃん正麺」のCMに出演している。「ウソだと思ったら食べてください」という強烈なセリフとともに「うまい」と、うなりながら食べる役所。インパクトのあるCMによって、5年をかけて開発した生麺をそのまま乾燥させることで食感を袋麺で再現させたという、マルちゃん正麺のうまさが視聴者に伝わったのだろう。1年で目標の2倍の2億食、200億円を売り上げ、発売から今年までの販売累計食数は19億食に上る、大ヒット商品となった。
10月27日に都内で行われた10周年記念発表会の席上で、役所は最初のCMを制作した当時を振り返り「『ウソだと思ったら食べてください』は、すごい大胆なセリフだと思いましたが、撮影に入って何度も食べていくうちに、本当においしいので、実感を持って言えた記憶があります」と笑顔で振り返った。その上で「あのころは、本当によく食べた記憶がありますね。うたぐり深い人も、きっと買ってくれたと思います」と、CMとヒットの関係性を自ら分析した。
発表会の席上で、役所はCMにも登場したマルちゃん正麺のアレンジメニュー2杯を、取材陣がシャッターを切るカメラのフラッシュを浴びながら相次いで実食した。まず、1品目の「ごま油香る肉野菜正麺」を食べると「これは、ごま油ですよね。マルちゃん正麺のしょうゆと、ごま油というのはとてもよく合うんですね。これは、もう王道という感じの味です」と感想を語った。
続いて2品目の「ガリバタ肉野菜正麺」を食べると「ガーリックの味が食欲をそそると言いますか、力強い味で、おいしいです」と満面の笑みを浮かべた。その後、取材陣を見渡して「1人で食べるのって、ものすごく緊張しますよね。ちょっと、上品に食べなきゃいけないかなとか、いろいろなことを気にして…でも、本当においしいですね」と笑みを浮かべた。司会から食べ比べた感想を問われると「ガリバタっていうのが、僕は好きですね。ごま油としょうゆもおいしいですけど(ガリバタは)パワフルな感じがします」と答えた。2杯、食べた上で比較しての感想を問う質問は、CMキャラクターを務める立場からいえば若干、ためらってもおかしくないだろうが、役所は率直な感想を口にした。
7年前の2014年8月にも、マルちゃん正麺を実食する役所を取材したが、その時の感想もストレートだった。マルちゃん正麺とコラボした東京・品川プリンスホテルが、商品を使ったメニューを1カ月間、提供するというプロジェクトの発表会だった。役所はラーメン、うどんなどの特製メニューを食べて「すごく濃厚な味。でもサッパリして相性がとてもいい」などと味を細かく表現。イベントの最後には、プライベートで、マルちゃん正麺を自宅で作ることもあると明かし「小腹がすいた時は、焼きのりと卵に魚肉ソーセージ」と、自身のオリジナルレシピまで紹介した。
CMキャラクターに起用されたタレントが、CM本編や発表会、イベントなどで商品の素晴らしさをアピールするのは仕事である以上、当然だろう。仕事として受ける以上、商品を理解することは必要だろうが、それだけにとどまらず商品を好きになった、という芸能人、タレントも、これまで取材してきた中でいたが、マルちゃん正麺を食べる役所の表情と、実感のこもったコメントは出色だ。
その裏には、マルちゃん正麺との10年の歩み、付き合いがあったことを、役所は10周年記念発表会の席上で明かした。
「スーパーとか行くんですけど、即席麺コーナーに行くと、横目でチラッと…売れてるかなぁと思って必ず見ますけど。何か、気になって、そこは必ず通過する感じですね。いまだ自分の体に10年間、染み付いている感じですね」
初出演から10年、CMキャラクターを務めてきた貢献に対し「人生で1番大きい」賞状を贈られた役所は「僕の方こそ感謝しなければいけない。この10年。10周年もCMに出させて頂くことは、なかなかない。また20年に向かって頑張りたい」と語った。
その上で、マルちゃん正麺のCMへの思いを語った。
「僕に出来ることは、楽しいCMを作ることだけですけど、家族を幸せにするCMが作れると良いなと心から思う。見ている人から笑顔が出て、あぁ食べたいなと思わせるようなCMが出来るといいなと」
日本を代表する俳優が、ファーストコンタクトでほれ込み、魅力を伝えようと誠心誠意、演じたCMによって商品が10年売れて、CMも10年続いた。「高齢者を代表して『ワシにも作れるチャチャッと手料理』という感じで出来るといいな」という役所の言葉を聞き、そこまで役所と幸せな関係を築いた、マルちゃん正麺を“チャチャッと手料理”で作って食べたくなった。【村上幸将】



