21日に米ニューメキシコ州で撮影中だった米映画「Rust」のセットで小道具の銃を誤射した俳優アレック・ボールドウィン(63)が30日、事故後初めてカメラの前に姿を見せた。

ボールドウィンはリハーサル中に助監督から弾薬が入っていない「コールドガン」だと言われて手渡された銃の誤射で、撮影監督のハリーナ・ハッチンズさんが死亡し、ジョエル・ソウザ監督が負傷する痛ましい事故を起こして以降、カメラの前に姿を見せたのはこれが初めて。パパラッチに執拗(しつよう)に追いかけられていたとみられるボールドウィンは、自ら車を降りて路上でおよそ4分間取材に応じた。

パパラッチの直撃を受けたボールドウィンは、「子供たちが車の中で泣いている。追跡をやめてくれないか」と懇願する一方、「捜査中のため、事故の詳細についてはコメントできないことになっている。何も答えられない」と取材陣からの質問には丁寧に応じた。取材中、妻のヒラリアさんが取材陣をにらみつけ、質問をやめようとしたり、自身のスマートフォンで取材陣を撮影するなど威圧的な態度を見せていた一方、ボールドウィンは「ハッチンズさんは私の友人だった」と繰り返し、ハッチンズさんの夫とは頻繁に連絡を取り合っており、捜査にも全面協力し、捜査結果の報告を待ちわびていると終始冷静に対応していた。

また取材では、過去75年間のハリウッドの歴史において数多くの映画やテレビで銃が使われてきたが、このような事故が起きたことはほとんどないと安全面を強調する一方、映画のセットにおける銃の使用制限の取り組みについては意欲をのぞかせた。

ボールドウィンは事故後、SNSを通じて「ショックと悲しみは言葉にできない」と述べ、悲劇的な事故だとコメントしていた。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)