先日、東京・半蔵門にあるTOKYO FMホールで行われた、石川ひとみ(62)のコンサートに足を運んだ。

300人も入れば満員となる小ホールが、熱心なファンでいっぱい。グッズ売り場には行列ができた。後方から見ると、ファンの髪の毛には白髪が交じり、頭髪が少しさびしくなった人も見かけるが、元気いっぱいの様子だった。

ファン層がやや高めなのは当たり前なのだろう。石川は1978年(昭53)に「右向け右」でアイドル歌手としてデビューした。来年の5月25日からは、デビュー45周年に入ると聞くとびっくりする。演歌歌手やフォーク歌手の大御所だと、北島三郎の芸道60周年を筆頭に、まだまだ第一線のアーティストは多い。

それでも、アイドル歌手が、45周年を迎えるというのは、ほぼ耳にしたことがない。ネットで調べると、同年にデビューしたのは石野真子、トライアングルら。前年の77年だと、大場久美子、榊原郁恵、高田みづえ。翌79年は井上望、川島なお美、倉田まり子、桑江知子、竹内まりや、能勢慶子、比企理恵、BIBIなどの名前が出る。人によっては懐かしさが先立つと思うが、それだけ石川はまれな存在なのだと思う。

81年の「まちぶせ」が大ヒットしたことも大きいが、アイドル時代から歌唱力に定評のあったことが、持続化の要因だとも思う。

デビュー43年の今年5月には、初めてリリースしたライブDVD「わたしの毎日」がオリコン週間ミュージックランキングで7位にランクイン。レコード会社などに問い合わせが相次ぐなど、45周年に向けて、再びスポットライトが当たっている。

コンサートは通常のバンドに加え、弦楽器が3人も入る豪華な編成。アンコールでは、昔からある童謡や叙情歌を2曲歌ったものの、ほか16曲はすべてオリジナルだ。ファンとアーティストが、お互いに納得しあえるような、一体感となった空間を醸し出していた。

来年は45周年の記念イヤー。ポップス歌手として、大人の楽曲を聴かせるステージをいつまでも続けてもらいたいと思う。