仙台に49万人のチャンネル登録者数を誇る音楽系YouTuberコンビがいる。もり(27)とさくま(31)の「MELOGAPPA(メロガッパ)」。抜群の歌唱力でカバー曲や合唱曲を配信して涙を誘ったかと思えば、大ヒット曲を長調にしてほのぼのさせたり、短調にして絶望に落としたり。CMソングのフレーズだけ寄せ集めて、まったく別のオリジナル曲を作ったら、企業から怒られるどころか感謝されたり…。「いろいろな角度で音楽を楽しむ」奇想天外な「MELOGAPPA節」を引っ提げて臨んだ、初の全国ツアー「ZEPP TOUR 555」を5月4日に終える。期間中の4月末、話題の2人に聞いた。【聞き手=久我悟】

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東京と仙台を結んだオンライン取材で、画面にさくまが現れたかと思うと、背後を気にして席を離れた。すると、脱ぎ散らかしたパーカーなどを拾い上げ、画面から見えないところに、置き直していた。さくまは片付けが苦手だと、もりが打ち明けるインタビュー記事を読んだことがあった。

-本当に片付けが苦手なんですね

さくま(以下さ) 本当にすいません。

もり(以下も) 恥ずかしいです(笑い)。

-これまでライブの経験はなかったんですね

さ MELOGAPPAとしてライブは初めてです。イベントはあっても、ワンマンは初めてですね。

-前日は眠れましたか

さ 普段と変わらず眠れましたね。ギリギリまで作業があって、忙しかったので、疲れていて、結構眠れました。

-もりくんはのどの調子を整えましたか

も いやあ、一応、のどにいいお茶というのがあったので、一応気休め程度に飲んで寝るってことはしました。

-コンビニが好きだと記事にありました。買ったのはやはり

も あんまり売ってなくてですね。海外の「スロートコート」って言うお茶があるんですけど、時々、カルディーで売っているぐらいで、ネット通販で買いました。

-緊張されたと思いますが、どういう状態でしたか

さ 楽屋にいる時から、スタッフの方から「外にお客さんがめちゃくちゃ並んでますよ」って写真を送ってもらったりして。本当に動画を見てくれている人がいるんだなというのを、初めて実感しました。めちゃくちゃうれしかったです。本当にいるのか、確かめに行くツアーでもあるので。

も 面と向かっては、なかったですからね。

さ 「会いに行こう」というのから始まったので、本当にいたんだなというのは思いました。

-もりくん、これを超える答えをお願いします

も 攻めますねえ…舞台そでで待っていたら、会場がざわざわしているんです。ちょっと足すくみました。緊張してフワフワした感じになりました。

-教科書どうりのお答えありがとうございます。原稿が書きやすいです(笑い)。ライブやってる実感は、どれぐらいでありましたか

さ ステージに出る前から、お客さんがリアクションくれていたので、ああ、いるなあって思いました。

も 拍手の音がすごかったです。今日はどんな感じかな? 

さ 確かにすごかったです。

も みんな探るような感じなのかと思ったんですが、結構最初からあげあげで、温かく迎えてくれた。そこで、(ライブを)感じましたね。土地土地でリアクションに差がでるのが楽しみです。地域性とかあるんじゃないかな。

-ほかの土地で歌うのは

2人 ないですね。

-初日を終えて、今はどんな感じですか

め すぐに次があるので、今度はどんな話をしようかなとか考えています。1回仙台でやったので、こうすればよりよくなるなって思うところもあるので、よりよくなったMELOGAPPAのステージをお見せできるというのもあります。

も 1回やって、心に余裕ができると思うので、もっとお客さんの表情とかよく見えると思いますし、いい意味で視野が広がって、また新たな何かが見えるかもしれない。そんな楽しみがあります。

-他のアーティストと違って、いろんな仕掛けが持ち味ですが、ライブでうまくできていますか

め そうですね。動画でやるのと基本変わらないので、それをお客さんと一緒に楽しむという意味では、ライブでしかできないこともありますね。

も いつもの動画と同じ感覚でやれてますね。

め ツイッターなどの反応にも「YouTubeからMELOGAPPAが飛び出してきた」ていう感想があってうれしかったです。

-大成功ですね

め 本当にうれしいですね。

-ツアー開催のきっかけにもなった「野望リスト」の中に「みんなで合唱する」というのがありました

さ 今回、コロナウイルスの関係で、みんなで一緒に歌うことだけがかなわなかったんです。でも、それ以外で、声は出さなくても、可能な限りみんなとコミュニケーションができるようにしたり、振り付けがあったりして、一体感が生まれたと思います。でも、合唱はいつかやりたい。それは今後の課題ですね。

-そもそも、555日も前にコンサートやりますという告知をしたアーティストを知りません

さ ありがとうございます。いろいろ理由はあるんですが、コロナウイルスがはやって、何か悶々(もんもん)としてた時期があって、何かみんなでできるでっかいことはないかなと投げかけたら、いろんなアイデアが集まってきて。やっぱり、みんなに会いに行くことが一番で、それだったら、ライブツアーだなって思うようになって。せっかくなら大きなところでやろうとなって、Zeppツアーということになりました。我々ライブもやったことないし、ただのYouTuberですから、とてつもない挑戦なんです。それを、長いこと時間をかけて、PRしていけばなんとか形になるんじゃないかなっていうのが1つの考え方です。時間をかけてみんなとPRしながら、完成を目指す555日間の旅。それも含めてライブツアーだったんです。

-大変過不足ないお答えでしたが、もりくんはいかがですか

も だいたい大丈夫です(笑い)。

-普通、集客のめどがあって、ツアーを決めますよね

さ わからないんですけど、「何かに挑戦したい」っていう自分たちの熱量はすごくありましたね。大きな挑戦でしたが、飛び込みました。

-チャンネル登録者数は自信や後押しになりましたか

さ 登録者数もそうですし、コメントをくれる方もたくさんいますし、自信にはなりました。とにかく、返ってくるみんなの熱量はすごかったです。それは後押しになりました。

-失敗は考えなかったんですか

さ いやあ、失敗は考えなかったんですね。

も みんな頑張れって言ってくれて、そんなにです。今を思えば。

-ツアーを応援するPR組織「ガッパ隊」もできました。ポスターを購入すると、PR用の分も送っていましたが

さ ポスターを買ってくれたのは2000人ぐらいいました。みなさん活動したら報告くれるんですが、アイデア力がすごくて、こういう貼り方もあるんだなって。美容室をやっている方が、店の一面に貼ってくれたりというのもありました。

同席のMELOGAPPAスタッフ ポスター貼ってくれる代わりに、インタビューを申し込まれたスポーツ新聞社もありました

-あっ、日刊スポーツですか! 

さ ありがとうございます(笑い)

-準備の間に珍プレーはありましたか

さ PR用のQRコードを、でかでかと胸にプリントしたTシャツを作ったんです。みなさんだけに着せるのは申し訳ないので、真っ先にそれを着てテレビに出たんです。そうしたら、現場でディレクターさんに「そのまま出たらまずいかもしれません」って指摘されて、上着を着てチラ見せぐらいで出ました。

-CMソングは詳しくても、テレビには詳しくなかったですね(笑い)。もりさんは

も さくまさんが急にぎっくり腰になったぐらいですかねえ。意外に病弱なんです。だんだん、さくまさんの顔を見ていると、具合が悪くなるのが分かってくるようになりました。顔色が悪くなっていく。結構あるんです。

-専属トレーナー状態ですね(笑い)。さくまさんが休養中、1人で撮影した動画もありましたね。霊感スポットで歌ったりとか

さ あれ、一番良かったですね

も 本当にお恥ずかしいです。言っていいのかわからないんですが、撮影してたらパトカーが来たんです。「何やってるんですか」って聞かれて「ちょっと撮影してました」と答えたら、そのまま立ち去ってくれました。遠くからチラチラ明かりが近づいてきて、心霊より怖かったです(大爆笑)。スムーズに見逃してくれましたけど、あれには肝が冷えました。

-ライブグッズもたくさん作られましたね

さ すごく好評だったそうで、実際売り切れたのもあるようです。完売したって聞きました。

も 5種類ぐらい。

マネジャー 正確に言うと、仙台分が売り切れて、ほかの会場分はまだあります。

も 友達から「買えなかったけど」っていうラインが来ました。「タオル欲しかったのに」って。「ごめん」って返しました。

-最後に東京公演があります

さ 私はそうなんですが、ライブを見に行くとき、ソワソワしたり結構緊張すると思うんです。だから、緊張せずに来てください。我々が会いに行きたいだけなんで、友達の家に行くぐらいの感じで、わいわいやりに来てください。

も 相変わらず、へんなこともやるので。

さ へんじゃないさ!

も ライブと思わずどんちゃん騒ぎをやる感覚で来てください。今までの動画を見直したり、下調べしなくてもいいですよ。

-ツアー後も楽しみな発表がありました

さ ツアーの初日から280日後から大阪・オリックス劇場と東京・中野サンプラザでホールコンサート4日間やります。今回のツアーでできなかったこともあるので、よりパワーアップしたいと思います。

も 音楽で楽しむのは、今までと変わりません。ぷらっと遊びに行くような気持ちで来てください。

◆MELOGAPPA(めろがっぱ)もり(本名・森瞬太=1994年11月9日、仙台市生まれ)と、さくま(同佐久間徹=1989年6月23日、宮城県白石市生まれ)の音楽ユニット。2019年3月に結成。同4月にYouTubeの配信を開始した。初配信は米津玄師「Lemon」のカバーだった。3本目には童話「桃太郎」と米津の「Flamingo」を合体させて初めて「メロガッパ節」をさく裂。「変調」「違う曲のカラオケで歌う」「母音が『あ』の時だけ歌う」などのシリーズがある。20年12月配信「『うっせえわ』を長調にしたらNHKっぽさがすごい」の279万回が過去最高の再生回数。登録者数は1年足らずで10万人を突破、現在50万人突破目前。