テレビ朝日の看板ドラマ枠「木曜ミステリー」(午後8時)が7月クールの放送をもって、23年9カ月の歴史に幕を閉じることが6日、分かった。

99年1月にスタートし、「京都迷宮案内」「科捜研の女」「おみやさん」「京都地検の女」「警視庁・捜査一課長」などの個性あふれる作品で人気を集めてきた。今回、24タイトルで800話超を放送した看板枠のフィナーレを上川隆也(57)主演の「遺留捜査」が飾る。

遺留品から真実を見いだそうと事件に向き合う超マイペースな刑事・糸村聡(上川)の活躍を描く「遺留捜査」は11年に第1シーズンがスタート。17年放送の第4シーズンから「木曜ミステリー」枠になり、舞台を東京から京都府警に移した。

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上川への一問一答

-シリーズ11年目、第7シーズンを迎えた心境は?

第7シーズンでこれまでにない大きな展開を迎えるかというとそうではなくて、むしろ1作1作重ねてきたからこその“変わらなさ”が間違いなく存在しています。でも一方では、これまで培ってきた“土台”がアップデートしていることを座組一同で実感しているところです。

たとえば新しく車を手に入れたとき、乗りはじめの段階では車と運転者の親和度はさほど深くありませんが、乗り続けていくことで運転者の練度は上がっていき、同乗者にとっても快適な時間になる…。「遺留捜査」という“乗りもの”は変わらずとも、キャスト、スタッフが1作ごとに作品の理解を深めることで、視聴者のみなさまに一層楽しんでいただける作品が届けられるなら何よりだと思います。僕自身、「遺留捜査」は年々“深化”が重ねられていると感じていて、そういう意味では第7シーズンもまた、ひと味変わったと感じられるところがあるかもしれません。

-木曜ミステリーの集大成を担う作品でもありますが、どのような思いで撮影に臨んでいますか?

そうした大きな誉れを担うには、「遺留捜査」という作品は“埒(らち)外”にいるのではという思いもあります。事件に関わる人々の心情にまで踏み込んで描く「遺留捜査」は、刑事ドラマとしてもミステリー作品としてもある意味、スタンダードを逸脱したスタイルでお届けしてきましたから…。でも、歴々の作品が重ねてきた歴史に恥じない作品にしたいという思いは強く、そのために今できることはできる限り、注ぎ込みたいと考えて全力で務めています。

-糸村刑事という役柄はご自身にとってどのような存在ですか?

独自のアイデンティティーを持っているといいますか、彼が携えているどこか不思議な雰囲気やつかみどころのない行動を含めて、他に類を見ないキャラクターだと思っています。僕のキャリアの中で最も長く演じさせていただいている役でもあり、愛着も含めて他にはない距離を感じる人物です。

-ご自身にとって「遺留捜査」という作品はどのような存在ですか?

みなさんもご自身のワードローブの中に、「いつも着ていたい」と思うような着心地のよい一着があると思います。また、身に着けるモノが立ち居振る舞いに影響を与えることも共感していただけるのではないでしょうか。僕にとって、袖を通したとき心地よさ、落ち着きを感じさせてくれるのが、「遺留捜査」。心地よく身に着けた装いが、役としての思考・行動も導いてくれる……そんなふうにすら思えるのがこの作品です。

-視聴者にメッセージをお願いいたします

おかげさまで第7シーズンを迎え、かつ木曜ミステリー枠最後の作品という栄を賜ることができました。しかしその重みはいったん忘れて、今は撮影に臨んでいます。これまでどおり糸村と特対(特別捜査対策室)の面々が事件にどう向かっていくのか見守っていただければ。そして、変わらぬ「遺留捜査」を変わらずにお楽しみいただければ幸いです。