乃木坂46黒見明香(18)の言葉に、人気アイドルグループに脈々と受け継がれる「連鎖」を感じた。

7月から恒例の「真夏の全国ツアー」が始まり、8月末には自身初参加となる東京・神宮球場公演を控える。同所でのライブは14年の初開催以来、乃木坂46にとって夏の風物詩で、「聖地」とも呼ばれている。野球好きの黒見にとって憧れの場所でもあり、さらに特別な思いも乗っかっているという。

18年5月に行われたデビュー6周年を祝うバースデーライブは、神宮球場と、隣接する秩父宮ラグビー場の両会場を同時使用する異例の形式で開催された。加入前だった黒見は、ファンとして会場を訪れていた。2会場合計6万人でパンパンに埋まり、「ステージバック席」などと呼ばれる舞台裏側のスタンド席も解放された。角度的にステージを直接見ることは難しいが、音や空気感、モニターの映像などでライブを現地で楽しめる席だ。

黒見はなんとかステージバック席のチケットを購入し、会場を訪れたという。「舞台裏に下りていく時に、(3期生の)梅澤(美波)さんがこっち側にも笑顔で手を振ってくださったんです。それがもう、超うれしくて。今でもすごく覚えています」と振り返った。

黒見は同年8月、「坂道合同オーディション」に合格し、坂道研修生期間を経て20年2月に4期生として憧れのグループに加入した。そして今年5月、横浜・日産スタジアムで開催された、加入後初の有観客バースデーライブとなる10周年記念ライブに出演した。客席はファン7万人で埋まり、角度的にステージが少し見にくい「見切れ席」のチケットも販売された。

「当時、梅澤さんに手を振ってもらってすごくうれしかったので、今度は私もと思って『見切れ席』の方にもたくさん手を振ることを意識しました。後日ファンの方から『ここまで来てくれてありがとう』とか言われて、伝わっていたんだと思ってうれしかったです。私は、さすが先輩だなと思って、まねをしただけなんですけどね」

今年4月から早大に進学。学業との両立はハードだが、先輩の2期生で慶大卒の山崎怜奈(25)らから助言やエールを受けながら、高校のテスト期間も乗り切ったという。グループ内では2月に5期生も加入し、初めて先輩にもなった。後輩とも一緒に写真を積極的に撮るなど、コミュニケーションをとっている。

加入後、梅澤に当時のエピソードを直接話した黒見は、「本当に!? ありがとう」と驚かれたという。意識してつないでいくものもあれば、何げない行動から引き継がれているものもある。今年8月には結成11周年を控え、世代交代にも成功しつつある乃木坂46にとって、紡いできた多くの「連鎖」は強さの証しでもある。【横山慧】